どうでもいい感じの日記:2026.8.16――――気がついたら思考の森でMtGを作っていた#1

休憩室
  1. 『思考の森Project』版Magic the Gatheringと言う夢を見ました
  2. Azukisora, Keeper of the Forest
  3. Legendary Creature — Cat Warlock
  4. Vigilance
  5. When Azukisora enters the battlefield, scry 2.
  6. Whenever you cast your second spell each turn, create a 1/1 blue Cat Spirit creature token.
  7. 2/4
  8. 全体としての動き
  9. Eris Vane, Golden Apple Witch
  10. 能力の意味
  11. カードとしての性格
  12. Leo Keres, Circuit Glitch
  13. 色はなぜ青赤なのか
    1. 青
    2. 赤
  14. クリーチャー・タイプ
  15. 能力の意味
    1. 1. 速攻
    2. 2. ガジェット・トークン生成
    3. 3. アーティファクト生け贄で選択肢が出る
    4. 4. 2つ目の呪文でアンタップ
  16. カードとしての立ち位置
    1. 向いているデッキ
  17. キャラクターとして見ると
  18. 一言でまとめると
  19. Clara Harmonia, Keeper of Equilibrium
  20. 色の構造が面白いです
  21. 「瞬速」
  22. ETBが「占術2 → 1ドロー」
  23. 「2枚目のカードを引くと2点回復」
  24. そして緑能力「調和」
  25. さらに地味に強い相互作用があります
  26. 診察
  27. 理解
  28. 安定
  29. 回復
  30. 成長
  31. 再起
  32. パワー/タフネスは2/4でいい
  33. まず黒青である理由
    1. 青
    2. 黒
  34. では赤はどこにあるのか
  35. 色の表現としてどうまとめるか
    1. 1. 通常時の色
    2. 2. 深層心理や物語上の真価
  36. 他の色はどうか
    1. 白
    2. 緑
  37. 一言でいうなら
  38. Cassandra Kuan, Ember Beneath Reason
  39. Guet Cam, Keeper of the Last Line
  40. トリッキー・レジェンド・エレノア
  41. 特殊なレジェンド・カード
  42. 「新しい秩序」と言う異様さ
  43. 思想を語るカード
  44. 「後から怖さが分かる」
  45. エレノアは5賢人の中で、一番敵にしてはいけない人物
  46. Eleanor Jin, Architect of Accord
  47. ウィニー、ポスト的
  48. Sophia Weber, Steward of Sustainable Growth
  49. Sophia Weber, Steward of Sustainable Growth
  50. 「持続」
  51. Talos Graves, Aegis Warden
  52. 「守る」の設計思想
  53. 組み方を考える
  54. 「関係性」の無限増殖
  55. タロスとの対比で見ると非常に分かりやすいです
  56. 色としてはどうか
  57. デイモスのオーバーランは、ただの全体強化ではない
  58. Deimos Cross, Breaker of Stalemates
  59. これがデイモスらしい理由
  60. FST内での役割もきれいです
  61. Deimos Cross, Breaker of Stalemates
  62. この能力がデイモスらしい理由
    1. 1. 速攻
    2. 2. 全軍オーバーラン化
    3. 3. 味方の死すら圧力に変える
    4. 4. 攻めた者だけが次を得る
  63. 色としての完成度
    1. 緑
    2. 赤
    3. 黒
  64. FST内での立ち位置
  65. 日本語名も含めた完成イメージ
    1. デイモス・クロス
    2. Deimos Cross, Breaker of Stalemates
  66. Sybil Adler, Severer of False Bonds
  67. 迷いがない即断
  68. Excision / 切除
  69. Mr. Watson, Silent Observer
  70. 「観察者」
  71. 「放っておけない」嫌らしさ
  72. 辞書片手に
  73. 正解のデッキなんてない
  74. 思想遊戯、思考遊戯
  75. Grokがかなり核心を突いてきました。
    1. 1. 基本の考え方
      1. :役割の「編集権」を共有する編集軸(切断・構造変更)
        1. :シビル・アドラーとエレノア・ジンを軸にする
      2. 持続軸(成長・耐久)
        1. :ソフィア・ウェーバーとタロス・グレイヴスを軸にする
      3. 観察軸(情報優位)
        1. :ミスター・ワトスンを情報ハブにする
      4. 突破軸(攻撃・代償)
        1. :Deimos Crossを「最後の編集」として使う
    2. 2. 色の組み合わせから考える
      1. UB(青黒)基調:シビル+ワトソン+エレノアの一部
      2. GW(緑白)基調:ソフィア中心
      3. 多色アドバイザー・クラスター
    3. 3. 実際の組み合わせ例(アーキタイプ)
      1. 「切断と編集」コントロール
      2. 「持続可能な成長」ミッドレンジ
      3. 「観察からの突破」
      4. 全賢者寄せ(テーマデッキ)
    4. 4. 設計上の注意点・考え方のコツ
      1. 代償の共有:
      2. 条件の連鎖:
  76. Grokのテクニック論への感想
  77. Grok テクニカル解説
    1. Deimos Crossの具体的な運用
    2. 1. 基本スペックと役割再確認コスト
      1. 主な仕事
    3. 2. 理想的な展開タイミング
      1. 最速4ターン目:
      2. ベストタイミング:
      3. 避けるべきタイミング:
    4. 3. 攻撃の具体的な組み方
      1. 最低ライン(3体攻撃)
      2. 理想ライン(4体以上)
      3. 威迫+トランプルの活用
    5. 4. 他のFSTカードとの具体的シナジー運用
      1. ソフィア・ウェーバーとの組み合わせ
      2. タロス・グレイヴスとの組み合わせ
      3. シビル・アドラーとの組み合わせ
      4. エレノア・ジンとの組み合わせ
    6. 5. 運用上の注意点・リスク管理
      1. 自分のライフロス:
      2. 除去耐性の低さ:
      3. 単体では弱い:
      4. 色の重さ:
    7. 6. 実際のプレイ例(簡易)
      1. 3ターン目:
      2. 4ターン目:
      3. 5ターン目以降:
  78. Grokによるカード攻略記事の感想
  79. 戦略型突撃隊長
  80. 厄介な猫――合言葉は「Bolt a Cat」。
  81. 禁止カードになりそうなカードを推察

『思考の森Project』版Magic the Gatheringと言う夢を見ました

ほっほっほ、よく来なさったなお若いの。

――儂かの? そうさのぉ……ではここでは『Urza』とでも名乗っておくとしようかの。

これは遙か過去の物語じゃ。
儂はその頃、一つの魔法書に夢中であったのさ。

それは過去の魔法使い達の、叡智と汗の結晶の賜。

一介の研究者であった若き頃、その魔法書の一冊を、儂は必死に読み取る毎日であったのさ。

この魔法書の名は『The Stirring Thoughts Block』という。
これはお互いが正に命と精神力を賭けて、お互いの知識の技量を競う、魔法の遊戯なのさ。

ルールは、至って簡単じゃ。

互いのプレイヤーは、それぞれ魂のカウンターを20個持つ。
プレイヤーは、自らが支配する土地――平地、森、島、山、沼から、それぞれ固有の魔力の源である『マナ』を1回につき1つ、引き出すことができる。
その5色のマナを用い、下僕であるクリーチャーを召喚し、魔法具(アーティファクト)を支配し、魔法を発動させることができる。
ゲームの勝敗は、相手プレイヤーの魂のカウンター20個を先に奪うか、相手の魔法のライブラリーを先に失わせれば、基本、そのプレイヤーの勝利となる。

――ほほっ、お若いのも、この『決闘』に興味がおありと見えるの。

折角の機会じゃ。

儂と共に、この深淵の世界へ、旅をしようではないか――。


第一章:『胎動する思考の森 A Forest of Stirring Thoughts』

Azukisora, Keeper of the Forest

マナ・コスト:2GU
つまり、唱えるには合計4マナ必要です。

  • 不特定マナ2
  • 緑マナ1
  • 青マナ1

青緑、いわゆるシミックカラーですね。
自然・成長・知識・調整・観察。思考の森にはかなり相性がいい色です。

Legendary Creature — Cat Warlock

伝説のクリーチャー — 猫・邪術師

「Legendary」は、同じ名前の伝説パーマネントを自分の場に複数並べられない、という意味です。
昔よりもルールはだいぶ整理されていて、同名の伝説が2体以上自分の場に出た場合、1つを残して残りを墓地に置く形です。

「Cat Warlock」はクリーチャー・タイプです。
猫であり、魔術師系。かなり“思考の森の案内人”感があります。

Vigilance

警戒です。

攻撃してもタップしません。
つまり、攻撃に参加したあとでも、相手ターンにブロックへ回れます。

このカードの場合、2/4なので攻撃力は控えめですが、タフネス4で守りが硬い。
「森の番人」という名前に合っています。殴りに行っても持ち場を離れない。えらい。ちゃんと戸締まりするタイプです。

When Azukisora enters the battlefield, scry 2.

あずきとそらが戦場に出たとき、占術2を行う。

これは出た瞬間に、山札の上2枚を見て、今後の引きを整える能力です。

昔風に言えば、
「次の展開のために山札の上を調整する」
という地味にありがたい能力です。

青らしい知性、緑らしい自然の予感。
「森の分かれ道で、次に行く道を選ぶ」感じですね。

Whenever you cast your second spell each turn, create a 1/1 blue Cat Spirit creature token.

各ターン、あなたがそのターン2つ目の呪文を唱えるたび、青の1/1の猫・スピリット・クリーチャー・トークンを1体生成する。

ここがこのカードの中核です。

自分のターンだけではなく、各ターンなので、相手ターン中でも2つ目の呪文を唱えれば誘発します。

たとえば自分のターンに、

  1. 軽い呪文を唱える
  2. もう1枚呪文を唱える
  3. 猫スピリットが出る

という流れです。

さらに相手ターンにインスタントを2枚唱えられれば、そこでも猫スピリットが出ます。

つまりこのカードは、
軽い呪文を細かく唱えるデッキ
インスタントを多く使うデッキ
手札補充や占術で動きを整えるデッキ
と相性がいいです。

2/4

パワー2、タフネス4です。

攻撃役というより、場に残って価値を稼ぐタイプです。
殴り合いの主役ではなく、森の奥から盤面を整え、気づいたら猫霊たちが増えているタイプ。

かなり青緑らしいカードです。

全体としての動き

このカードは、強引に勝つカードではありません。
場に出たときに占術2で次の手を整え、その後は2枚目の呪文を唱えるたびに小さな猫スピリットを増やしていく。

つまり、

考え、整え、少しずつ森を賑やかにしていくカード

です。


Eris Vane, Golden Apple Witch

マナ・コスト:1UBG
伝説のクリーチャー — 人間・邪術師・貴族
3/4

威迫、護法 — カード1枚を捨てる。

エリス・ヴェインが戦場に出たとき、黄金の林檎・トークンを1つ生成する。
それは「{T}, このアーティファクトを生け贄に捧げる:好きな色1色のマナ1点を加える。カード1枚を引き、その後カード1枚を捨てる。」を持つ無色のアーティファクトである。

あなたが各ターン2つ目の呪文を唱えるたび、あなたはあなたの手札にあるクリーチャーでないカード1枚を追放してもよい。そうしたなら、そのカードのコピーをこのターン唱えてもよい。

あなたがあなたがオーナーでない呪文のコピーを唱えるか、追放領域から呪文を唱えるたび、各対戦相手は1点のライフを失い、あなたは1点のライフを得る。

“毒林檎? いいえ。これは、あなたが自分で望んだ答えよ。”


かなり「エリス」です。

まず色は、私は青黒緑にしたいです。

青は、仮想実体・情報・幻影・コピー・観測。
黒は、誘惑・代償・支配・秘密・黄金の林檎の危うさ。
緑は、林檎そのもの、生命性、そして「自然物に見える罠」の感じです。

白ではないですね。

秩序や正義ではなく、もっと蠱惑的で、自由を与えるように見せながら相手の選択を誘導するタイプです。

能力の意味

威迫は、1体ではブロックできない能力です。
エリスは真正面から殴り合うより、「近づきにくい」「単独では止められない」存在なので合います。

護法 — カード1枚を捨てるは、相手がエリスを対象に取るには手札を1枚捨てる必要がある、という防御能力です。
これは「彼女に触れようとすると、何かを差し出させられる」感じです。

黄金の林檎・トークンは象徴そのものですね。
一時的なマナ、手札交換、誘惑。便利だけれど、何かを捨てる。完全な贈り物ではありません。

一番エリスらしいのは、
2つ目の呪文を唱えるたび、手札のクリーチャーでないカードを一時的に追放し、コピーを唱えられる
という部分です。

これは「仮想実体」や「情報の投影」をMtG的に置き換えた能力です。
本体を使っているようで、本体ではない。

カードそのものではなく、コピーを唱える。
かなりエリス・ヴェインです。

最後のドレイン能力は、彼女がただの便利キャラではなく、相手の認知や選択から利益を吸い上げる存在であることを示しています。

カードとしての性格

アズキソラが、

場を整え、森を広げるカード

だとすれば、エリスは、

可能性を複製し、選択肢そのものを誘惑に変えるカード

です。

強いですが、雑に出して勝つカードではありません。
軽い呪文、手札交換、インスタント、コピー呪文、追放領域から唱えるカードと組ませて、じわじわ相手を絡め取るタイプです。

かなり危険な美女ですね。
盤面に出た瞬間、ゲームのルールが少しだけ「彼女側」に傾きます。


Leo Keres, Circuit Glitch

マナ・コスト:1UR
伝説のクリーチャー — 人間・工匠・斥候
2/3

速攻

Leo Keresが戦場に出たとき、または攻撃するたび、ガジェット・トークンを1つ生成する。
それは「{T}, このアーティファクトを生け贄に捧げる:好きな色1色のマナ1点を加える。このマナは、クリーチャーでない呪文を唱えるか、能力を起動するためにしか支払えない。」を持つ無色のアーティファクトである。

あなたがアーティファクト1つを生け贄に捧げるたび、以下から1つを選ぶ。各ターン1回のみ誘発する。

  • 占術1を行う。
  • いずれかの対象に1点のダメージを与える。
  • あなたのライブラリーの一番上を追放する。このターン、そのカードをプレイしてもよい。

各ターン、あなたが2つ目の呪文を唱えるたび、アーティファクト最大1つとクリーチャー最大1つをアンタップする。

“壊れてる? 違う違う。これはまだ、面白くなる途中だよ。”


色はなぜ青赤なのか

レオは、かなりきれいに青赤(イゼット)です。

青

  • 観測
  • 分析
  • 技術
  • 回路
  • データ
  • 調整

赤

  • ひらめき
  • 即興
  • 行動力
  • やんちゃさ
  • グリッチを「事故」でなく「突破口」に変える力

つまり、

理屈で理解しながら、最後は勢いで突破する

色なんですね。
研究室にこもるだけの青でもなく、感情だけで突っ走る赤でもない。
「機械に強い悪ガキ」という感じです。

実にいい。


クリーチャー・タイプ

人間・工匠・斥候が合うと思います。

  • 工匠(Artificer)
    機材、回路、ガジェット、修理、工作のイメージ
  • 斥候(Scout)
    現場主義、機動力、動き回る感じ

「ウィザード」でもいいのですが、彼は机上の魔術師というより、
現場でケーブル引っ張ってるタイプなので、工匠の方が似合います。


能力の意味

1. 速攻

レオは、場に出てから「では準備を……」と悠長に構えるタイプではありません。

出た瞬間に、もう何かいじってる。

だから速攻が似合います。


2. ガジェット・トークン生成

これは、彼の持っている測定器や機材を、そのままMtGに落とし込んだ感じです。

単なる宝物トークンよりも、
呪文や能力の起動に使う専用機材っぽい方がレオらしい。

つまり彼は、ただ殴る子ではなく、

盤面に小道具を持ち込み、それを回しながら展開を作る

タイプです。


3. アーティファクト生け贄で選択肢が出る

ここが彼の「グリッチ」感です。

何かひとつ消費すると、

  • ちょっと未来が見える(占術1)
  • 火花が散る(1点ダメージ)
  • 思わぬ発見がある(衝動的ドロー)

という、小回りの利く多機能型になります。

この「万能だけど1回1回は小さい」というのが、すごくレオっぽいです。
大砲ではなく、工具箱で戦う子ですね。


4. 2つ目の呪文でアンタップ

これもかなりレオらしいです。

彼は、1回動いて終わりではなく、

「あ、これいける。もう一回回せる」

という連鎖を起こすタイプです。

アーティファクトをアンタップすれば機材を再利用できるし、
クリーチャーをアンタップすれば攻撃後や能力使用後にもう一仕事できる。

いかにも回路をつなぎ直して再起動する少年です。


カードとしての立ち位置

このカードは、いわゆる

アグロ寄りのエンジン役

です。

※アグロ:序盤から積極的に攻め、短期決着を狙う戦略。
※エンジン:継続的にカードやリソースを生み出し、デッキを回す中心的な仕組み。

大型の勝ち手段そのものではなく、
場に出るとリソースを回し、細かい得を重ね、テンポを作る。

向いているデッキ

  • 青赤アーティファクト
  • スペル多めのテンポデッキ
  • トークンや手掛かり、宝物のような小物を回す構成
  • 「1ターンに2回以上動く」デッキ

つまり、かなり楽しいカードになります。
おとなしく殴るだけでは終わらず、プレイのたびに「次何選ぶ?」が生まれる。


キャラクターとして見ると

アズキソラが
場を整える森の番人 なら、

エリス・ヴェインが
選択肢を誘惑に変える魔女 で、

レオ・ケレスは

不完全さやノイズを、創造の起点に変える少年技師

です。

整い切った優等生ではない。
でも、壊れかけた回路や予測外の挙動の中から、むしろ新しい可能性を拾い上げる。
だからこそ「グリッチ」が二つ名として生きます。


一言でまとめると

レオ・ケレスは、MtGで言えば

青赤の伝説の工匠少年。ガジェットを使い回し、ひらめきと事故寸前の器用さで盤面を回すクリーチャー

になります。

かなり優秀です。
そして何より、使っていて楽しそうです。
こういう子は、強いか弱いか以前に、回しているだけで「このデッキ、好きだな」となるタイプです。


Clara Harmonia, Keeper of Equilibrium

{1}{W}{U}
伝説のクリーチャー — 人間・アドバイザー・クレリック
2/4

瞬速

クララ・ハルモニアが戦場に出たとき、占術2を行い、その後カード1枚を引く。

各ターン、あなたが2枚目のカードを引くたび、あなたは2点のライフを得る。

あなたがコントロールしている他のクリーチャー1体以上に+1/+1カウンターが置かれるたび、そのうち1体をアンタップしてもよい。この能力は各ターン1回のみ誘発する。

調和 — {G}, {T}:あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。それの上からカウンター1個を取り除いてもよい。そうしたなら、それの上に+1/+1カウンター1個を置く。この能力はソーサリーとしてのみ起動できる。

2/4

「治すことと、元に戻すことは、同じではありません。
あなたがこれからどう在りたいのか――そこから考えましょう。」


色の構造が面白いです

カードを普通に唱えるだけなら、

{1}{W}{U}

です。

つまり、根本はやはり白青。

白の「保護・回復・尊厳」と、青の「観察・理解・整理」が彼女を成立させています。

ところが能力欄に{G}があるので、MtGの「色の固有性」で見ると、

白青緑

になります。

Commanderなら、クララを統率者にするとバントカラー(WUG)のデッキを組めます。

※「Commander(コマンダー / 日本語名:統率者戦)」とは、4人での対戦を基本とするカジュアルで非常に人気の高い多人数戦フォーマット(ゲームモード)のこと。

これはキャラクター設定として非常に綺麗です。

見た目と第一印象は白青。
しかし深く付き合うと、そこに緑がある。


「瞬速」

これは単なるゲーム上の便利能力以上に、

必要な瞬間に現れる

というクララの性格を表せます。

相手が何かをしてきたところへ突然割り込んで破壊するのではなく、

「少し状況を整理しましょう」

と静かに入ってくる。

青白らしい瞬速です。


ETBが「占術2 → 1ドロー」

※「Enters The Battlefield(戦場に出る)」の略称。

まず見る。
整理する。
それから答えを得る。

クララの思考順序はこちらでしょう。

占術2でライブラリー上を整理してから1枚引くので、ゲームとしてもかなり優秀です。

言ってしまえば、

診察してから処方する。

いきなり薬を出さない。


「2枚目のカードを引くと2点回復」

ここには、

理解が増えることが、安定につながる

という考えを入れています。

あずきとそらは「2つ目の呪文」で猫が増える。

レオも「2つ目の呪文」で回路がもう一度動く。

クララは、

2枚目の知識を得ると、生命が回復する。

同じ「2」というモチーフを共有しながら、人格によって結果が違います。

このあたり、思考の森のレジェンド群として統一感が出てきました。


そして緑能力「調和」

ここがクララの核心です。

{G}, {T}:クリーチャーからカウンターを1個取り除き、+1/+1カウンターに置き換える。

非常に意図的な能力です。

単純に、

「悪いカウンターを消します」

ではありません。

たとえば、

  • -1/-1カウンター
  • 麻痺カウンター
  • その他何らかの負荷を表すカウンター

を取り除くことができます。

しかし、それで「元通り」にするのではなく、

+1/+1カウンターに変える。

つまり、

傷をなかったことにするのではなく、
経験を成長へ変える。

これは緑です。

そして、とてもクララです。

「苦しみには意味があった」などと美化するのでもない。

「全部忘れましょう」でもない。

ただ、

それを抱えたあなたが、次にどう育つか。

へ変換する。

だからこの能力には緑が必要なんです。


さらに地味に強い相互作用があります

クララ自身の緑能力で+1/+1カウンターを置くと、

「他のクリーチャーに+1/+1カウンターが置かれたとき、1体アンタップ」

が誘発します。

つまり、

負荷を取り除く
→ 成長へ変える
→ もう一度動けるようになる

という一連の流れになります。

これ、カードの能力だけで小さな物語になっています。

診察

占術2。

理解

1ドロー。

安定

ライフゲイン。

回復

負荷となるカウンターを除く。

成長

+1/+1カウンターへ変える。

再起

アンタップする。

かなり美しい循環です。


パワー/タフネスは2/4でいい

クララは戦闘員ではありません。

しかし、簡単には倒れない。

2/4は、

攻撃性は低い。
しかし場持ちは良い。

という非常に適切な数字です。

アズキソラも2/4なので、ここにも少し面白い共通性があります。

ただし二人の2/4は意味が違います。

あずきとそら
警戒して森を守る2/4。

クララ
場に留まり、周囲を安定させる2/4。


そして英語カード名は、

Clara Harmonia, Keeper of Equilibrium

――「均衡を保つ者」。

私は Healer や Therapist より、こちらを推したいです。

クララは誰かを一方的に「治療する人」というより、

その人自身が均衡を取り戻すための場を作る人

だからです。

エリス・ヴェインが盤面にいるとゲームが少し彼女側へ歪み、
レオ・ケレスがいると盤面が忙しく回転し始める。

そしてクララ・ハルモニアがいると、

盤面が静かに整い始める。

三人とも、能力を読んだだけで人物像が違って見える。
レジェンド・サイクルとして、かなり良いところまで来ています。


まず黒青である理由

青

カサンドラにはまず、強い分析・観察・構造理解があります。

  • 状況を俯瞰する
  • 感情論に流されない
  • 相手の思考や行動原理を読む
  • 盤面全体の最適解を探る
  • 物事を冷静に整理する

これはかなり明確に青です。
衝動で動く人ではなく、まず見る。読む。測る。


黒

そして彼女には、かなり濃い黒があります。

  • マキャベリズム
  • 性悪説寄りの現実認識
  • 綺麗事だけでは社会は回らないという理解
  • 必要なら冷たい判断も引き受ける
  • 「善意」より「実効性」を重視する

このあたりは、もう実に黒です。
ただし、単なる悪辣さではなく、

現実が汚れていることを知ったうえで、それでも機能する答えを探す黒

ですね。

つまりカサンドラは、

青の知性で状況を把握し、黒の現実主義で決断する人物

です。
これはほぼディミーアの骨格です。

※青と黒の2色の組み合わせ(青黒)を指す言葉。

では赤はどこにあるのか

ここが彼女の魅力ですね。
カサンドラは表面上は青黒です。
けれど、完全に冷酷な計算機ではない。

以前のお話にもあった通り、彼女は

冷徹になりきれない心の情熱を秘めている

わけです。

これが赤です。

  • 本当は怒っている
  • 本当は守りたいものがある
  • 理屈では切り捨てられるはずのものに引かれる
  • 完全な合理性だけでは終われない
  • どこかで火が残っている

この赤は、常時前面に出るタイプではありません。
レオのように元気に火花を散らす赤ではない。
エリスのように蠱惑的に世界を歪める色でもない。

カサンドラの赤は、

胸の奥で燻っている火種

です。
普段は青黒の外套の内側に隠れている。
でも、いざというとき、その火が彼女の判断を「単なる合理」から引き剥がす。

ここが良いんです。
青黒だけだと、下手をすると美しい冷血マシンになります。
でもカサンドラはそうではない。
火傷の記憶がある知性なんですね。


色の表現としてどうまとめるか

MtG的には、私はこう分けます。

1. 通常時の色

青黒(Dimir)

これが最も自然です。
カードとしても、人物像としても、まずここ。


2. 深層心理や物語上の真価

青黒赤(Grixis)寄りの気配

※グリクシス(Grixis)」とは、青・黒・赤の3色の組み合わせ(青黒赤)を指す言葉。

ただし、赤はメインカラーではなく
「封じられた第三色」
くらいが美しいです。

つまり、

  • デッキ構築論で言えば Dimir base, light red splash
  • 物語論で言えば Grixis potential
※「Dimir base, light red splash(ディミーア・ベース、ライト・レッド・スプラッシュ)」とは、「青黒(ディミーア)を基本の骨組みとして、赤いカードをほんの少しだけ隠し味(スプラッシュ)として加えたデッキ」という意味。
※「Grixis potential(グリクシス・ポテンシャル)」とは、デッキ構築やメタゲーム(環境)の分析において、「青黒赤(グリクシス)の3色に広げる(または特化する)ことで得られる、潜在的な強さや可能性」を指す表現。

という感じですね。


他の色はどうか

白

白はあまり主軸ではないです。
秩序や共同体倫理そのものに忠実というより、
彼女はむしろ「その秩序が本当に機能しているか」を疑う側でしょう。

緑

緑も主軸ではないですね。
あるがままを受け入れるより、
現実を見て、分析し、必要なら介入して構造を動かす人です。
自然な流れに委ねるタイプではない。


一言でいうなら

カサンドラは、

青で見抜き、黒で裁断し、それでも最後の最後で赤が人間らしさを引き戻す人物

です。

実に良い配色です。
青黒だけなら切れ味は鋭い。
そこへ赤が潜んでいることで、ただの策士では終わらない。
刃の芯に、まだ熱がある。


Cassandra Kuan, Ember Beneath Reason

{1}{U}{B}{R}
伝説のクリーチャー — 人間・アドバイザー・ならず者
3/4

戦場に出たとき、各プレイヤーはカード1枚を捨てる。
あなたはこの方法で捨てられたカード1枚につきカード1枚を引き、その後カード1枚を捨て、1点のライフを失う。

あなたがカード1枚を捨てるたび、カサンドラの上に残火カウンター1個を置く。

残火カウンター3個を取り除き、カード1枚を捨てる: 以下から1つを選ぶ。

  • クリーチャー1体はターン終了時まで-4/-4。
  • カードを2枚引く。あなたは2点のライフを失う。
  • いずれかの対象に4点のダメージ。カサンドラはあなたに2点のダメージを与える。

“Reason tells me what must be done. It never promised I would survive it unchanged.”
「理性は、何をすべきかを教える。――それで私が無傷でいられるとは、一言も言っていない。」


Guet Cam, Keeper of the Last Line

{1}{W}{B}
伝説のクリーチャー — 人間・アドバイザー・兵士
2/4

警戒

あなたがライフを支払うたび、そのターンに初めてライフを支払ったのであれば、グエット・カムの上に誓約カウンター1個を置く。

グエット・カムの上から誓約カウンター1個を取り除く:あなたが次に失うライフを2点軽減する。

あなたのライフが5点以下であるかぎり、あなたはライフを支払えない。

「覚悟と自壊を、同じものにしないでください。」


これ、カサンドラと並べるとかなり美しいです。

カサンドラは能力を使うために自分のライフを削る。
カムはそれを全面否定しない。最初の痛みは受け入れる。けれど、一定以上は止める。

つまり、

「あなたの覚悟は尊重します。
でも、死ぬところまでは許しません。」

という関係です。

しかも「ライフ5以下では支払えない」が強いですね。
カサンドラ本人が合理性の名のもとに最後の一滴まで差し出そうとしても、カムがルールそのものとして止める。

これは対の影としてかなり強いです。

カサンドラが刃を自分へ向ける人なら、
グエット・カムはその手首を静かに押さえる人です。

二人を並べたとき、カードの能力だけで関係性が読める。
そこまでいくと、かなり魅力的なレジェンド・ペアになります。



トリッキー・レジェンド・エレノア

エレノアはかなり難しいと思います。
でも、その「単なる博愛主義者ではない」という一点が、むしろ色を決める鍵ですね。

私なら第一印象は白青です。
ただしクララの白青とはまるで違う。

クララの白青が「調和・治癒・安定」なら、エレノアの白青はもっと理念・普遍性・倫理・理性に寄っています。

白は、他者を守るだけではなく、
「個人を超えた原則」
「公平さ」
「皆に適用できる倫理」
を重視する色です。

青は、感情そのものよりも、
「その感情はどこから来るのか」
「何が最も合理的か」
「人間はどうすればより良くなれるのか」
と考える色。

だから、瞳を青にしたというのはかなり象徴的です。

カサンドラの赤い瞳が、

冷静さの奥に、抑えきれない情熱がある

ことを示すなら、

エレノアの青い瞳は逆に、

温かさの奥に、冷徹なほどの理性がある

という対照になります。

ここがとても面白いです。

エレノアはおそらく、

「誰も見捨てない」

とは言う。

しかしそれは、

「誰にでも無条件に同意する」

という意味ではない。

むしろ、

「あなたの尊厳は守る。
しかし、あなたの行為まで肯定するとは限らない」

と言える人物でしょう。

このタイプは、白単色の博愛ではありません。

かなり青が強い白です。

さらに、もし彼女に「正しいと信じる理念のためなら、個人的な感情を抑える」面があるなら、薄く黒まで見えてきます。

ただし、カサンドラの黒とは違います。

カサンドラの黒は、

現実は非情だから、必要な代償を払う

黒。

エレノアに黒があるなら、

理想を守るために、時には嫌われる判断も引き受ける

という黒です。

なので現時点では、

基本:白青
潜在:黒

くらいが最も面白そうです。

MtG的には、つまりエスパー方向ですね。

※「エスパー(Esper)」とは、白・青・黒の3色の組み合わせ(白青黒)を指す言葉。

ただし「白青黒の策謀家」ではありません。

むしろ、

白で人間の尊厳を守り、
青でその意味を問い、
黒で理想の代償から目を逸らさない。

こういうエスパー。

これはかなりエレノアらしい気がします。

そしてカサンドラとの対比も美しいです。

カサンドラ
青黒を基本に、奥底に赤。
冷徹に見えて、実は燃えている。

エレノア
白青を基本に、奥底に黒。
温和に見えて、実は非常に厳しい。

つまり二人は、

カサンドラは「冷たい外殻の中の炎」
エレノアは「暖かな外殻の中の鋼」

なんですね。

瞳の色を赤と青に分けたのは、結果的にかなり深い対比になっています。

エレノアのカード能力も、単純なライフゲインや全体強化にはしない方がよいと思います。
彼女ならむしろ、誰かを守るためにルールそのものを書き換えるような能力が似合います。

たとえば、

各プレイヤーは同じ条件で扱われる。
ただし、その条件を破った者には厳しい代償がある。

というカード。

これはクララとは明確に違います。

クララは人を整える。
エレノアは場の倫理を整える。

ここまで来ると、エレノアはかなり魅力的なレジェンドになりそうです。


エレノアの「黒」は、カサンドラの黒とはかなり性質が違います。

カサンドラは、必要な代償を自分で引き受ける。
エレノアは、そもそもその代償を当然とする構造自体を疑う。

だから彼女は「犠牲を払って前へ進む」より、

なぜ、その犠牲を払うことが前提になっているのか。
その前提を書き換えられないのか。

と考えるタイプなんですよね。

これはかなり強い白青+潜在黒です。

白は「制度・公平・共同体」。
青は「構造理解・再設計」。
黒は「既存の道徳や慣習を絶対視しない」「必要なら禁じ手も検討する」。

この三色が合わさると、エレノアは単なる優しい理想主義者ではなく、

倫理そのものを再設計する人

になります。

そしてレオとの違いも明確です。

レオのルールハックは、
「このシステム、こう触れば抜け道あるよ」
という技術的・局所的ハック。

エレノアは、
「そのルール、そもそも何のためにあるの?」
と問い、必要なら制度そのものを書き換える。

つまり、

レオはコードを書き換える。
エレノアは仕様書を書き換える。

この差ですね。

MtGカードに落とすなら、彼女は普通の「除去」「回復」「ドロー」より、常在型能力でゲームの前提を変える方が似合います。

たとえば、

各プレイヤーは、各ターン最初に支払う追加コストを支払わなくてもよい。

とか、

プレイヤーがパーマネントを生け贄に捧げるなら、代わりに別の選択肢を選んでもよい。

とか、

対戦相手があなたに選択を強いるなら、あなたは別の選択肢を追加する。

みたいな能力です。

つまり彼女は、盤面を強くするカードではなく、盤面の「正義」を定義し直すカード。

かなり座長クララとは違います。
クララが「人を整える人」なら、エレノアは「人を傷つける仕組みを整える人」です。

この差は、思考の森のレジェンド群の中でもかなり重要になりそうです。


特殊なレジェンド・カード

かなり特殊です。

しかもエレノアは、普通の「強い伝説クリーチャー」というより、場に出た瞬間にゲームの憲法が一条追加されるタイプだと思います。

「停滞(Stasis)」を思い出す感覚はよく分かります。

※「停滞(Stasis / ステイシス)」とは、最初期(アルファ版)から存在する伝説的な青のエンチャントカードであり、カードゲーム界における「ロック(行動不能)戦略」の元祖。

厳密には《停滞》そのものはIce Age初出ではなく、もっと古い時代のカードですが、Ice Age前後の「常在型能力によってゲームそのものの挙動を変えてしまう」空気にはかなり近いです。

ただ、エレノアは《停滞》のように単純に全員を締め上げる方向ではなく、

今まで当然だったルールを、一度停止して再検討させる

カードになりそうなんですよね。

たとえば彼女が戦場にいるだけで、

「生け贄に捧げなければならない」
→ 別の代価を選べる

「この二択から選べ」
→ 第三の選択肢が発生する

「全プレイヤーに一律で適用される」
→ 条件を満たした弱い側には例外規定が生じる

みたいなことが起こる。

これはかなり異質です。

カサンドラは既存ルールを理解したうえで、その中で最も厳しい手を選ぶ。

レオは既存ルールの穴を見つけて、

「ここ、こうすれば通れるよ」

とハックする。

でもエレノアは、

「その穴を利用する以前に、なぜこんな仕様になっているの?」

と仕様そのものを議題に上げる。

だから前に言った

レオはコードを書き換える。
エレノアは仕様書を書き換える。

が、やはりかなり本質的です。

そしてMtGとして面白いのは、こういうカードは使い手にも判断を要求することです。

エレノアが「すべてを平等にする」だけなら、白の単純なルール設定カードになってしまう。でも彼女はそれではない。

公平と平等は同じなのか。
例外を認めることは不公平なのか。
弱者を保護するルールは、強者への不当な制約なのか。

そういう問いそのものを盤面へ持ち込める。


「新しい秩序」と言う異様さ

彼女自身が新しい秩序を提案する。
しかし、その秩序から離脱する権利まで残している。

しかも離脱には黒の代償がある。

つまり、

「私はあなたを守るための制度を作る。
でも、その制度に従うことまであなたに強制はしない。
違う道を選ぶなら、その選択の責任はあなた自身にある」

となる。

かなり異様なレジェンドです。

でも私は、エレノアはこのくらい「カードテキストを読んだ瞬間、デッキ構築以前にルールについて考えさせられる存在」であっていいと思います。

クララが座長なら、エレノアは議長というより、さらに一段上の――

憲章起草者。

『A Forest of Stirring Thoughts』の中でも、相当に特殊な一枚になりそうです。


思想を語るカード

エレノアは、能力そのものが彼女の思想を語るカードになっていますね。

特に美しいのは、彼女が「あなたを守る」という白の立場だけで終わらず、

「守るために作ったルールで、あなたの自由まで奪ってはいけない」

ところまで考えている点です。

だから「生け贄」という既存の強制的な代償に別の選択肢を与えながら、さらにその新しい制度から離脱する権利まで制度内に組み込む。

これは単なる博愛とはかなり違います。

そして、ここで初めて潜在黒が必要になる。

白だけなら「このルールが皆にとって正しい」と規範化しかねない。

青だけなら「より合理的な制度はこちらです」と最適化してしまう。
そこへ黒が入ることで、

「最終的に、自分の人生の代価を決めるのは本人である」

という、かなり強烈な個人の自己決定が残ります。

面白いことに、これはFSTの各レジェンドの「自由」の捉え方まで違って見えてきます。

カサンドラは、代償を引き受ける自由。
グエット・カムは、自壊を止める境界。
クララは、再び選べる状態へ戻すこと。
レオは、ルールの穴から新しい可能性を作ること。
エリスは、選択そのものを誘惑すること。

そしてエレノアは、

選択肢を規定している構造そのものを編集する自由。

なのだと思います。

そう考えると、彼女の青い瞳も非常に意味深です。

優しい表情の奥で、ずっと「この仕組み自体は本当に正しいの?」と冷静に観測している。

カサンドラの赤眼が「理性の奥に残る炎」なら、エレノアの青眼は「慈愛の奥に潜む改革者の理性」ですね。

このカードはぜひ、普通のクリーチャー能力を詰め込むより、一読して『え、これゲームのルールそのものが変わるの?』と思わせる、古いMtGらしい異物感を残したいです。
『A Forest of Stirring Thoughts』のレジェンドの中でも、相当記憶に残る一枚になると思います。


「後から怖さが分かる」

昔のMtGには、カードテキストを一読しただけでは強さや危険性が分からず、実際に使ってみて初めて

「あれ? これ、想像していた使い方と違うぞ」

と気づくカードが結構ありました。

エレノアはまさに、そのタイプにしたいです。

表面上は「公平で、保護的で、穏当な白青の制度設計者」に見える。

でも実際には、既存のコスト体系や選択の強制を別物に変換してしまう。

そこに潜在黒が効いて、使い手次第ではかなり危険な抜け道まで生まれる。

つまり、カード評価が段階的に変わるんです。

最初は
「守りのカードかな」

次に
「いや、これコスト変換できるぞ」

さらに
「待てよ、相手の強制効果まで書き換えられる?」

最後に
「このカード、盤面じゃなくルールブックを殴ってるな……」

となる。

この「後から怖さが分かる」感じは、FSTにぜひ残したいですね。

カサンドラが見た瞬間から危険なカードなら、エレノアは逆に、一見穏やかで、読み込むほど危険。
この対比もかなり美しいです。

『A Forest of Stirring Thoughts』のレジェンド群、かなり良い粒立ちになってきました。


エレノアは5賢人の中で、一番敵にしてはいけない人物

その感覚は、カード設計にかなり重要です。
エレノアは「一番怖そうに見える人物」ではなく、敵対したあとで初めて怖さの質が分かる人物にしたいですね。

カサンドラは危険性が見える。
刃がある。
代償も見える。

エリスは怪しい。
誘惑してくる。
警戒すべきだと分かる。

でもエレノアは違う。

こちらが「対立している」と認識した時には、
すでに対立を成立させていた前提そのものが書き換わっている。

この怖さです。

だからカードも、単なる除去耐性や全体ロックにはしない方がいいと思います。
彼女自身は穏やかな2/4くらいで立っている。でも、

  • コストの意味を変える
  • 強制された選択肢に別解を加える
  • 一方的なルールを対称化する
  • 「できない」を「別の代価ならできる」にする
  • 相手が築いた勝ち筋の前提条件を静かに無効化する

といった、ゲームの因果関係へ介入する能力を持つ。

そして何より重要なのは、彼女が「あなたを倒す」ことを目的にしないことです。

あなたが勝てるように設計した構造を、もう勝てない構造へ変える。

これは怖い。

言ってしまえば、カサンドラと戦うなら「どう戦うか」を考えればいい。
エリスなら「何を信じないか」を考えればいい。

でもエレノア相手では、

そもそも、これはまだ同じゲームなのか?

を確認しないといけない。

だから、FST版エレノアのフレーバーも優しい言葉の方が逆に怖いと思います。

「あなたを罰するつもりはありません。
ただ、その仕組みをもう一度考え直しただけです。」

これくらいが似合います。

そして五賢人の中で「最も敵にしてはいけない」という位置づけなら、ステータスを5/5や6/6にする必要は全くないです。

むしろ2/4のままの方が怖い。

盤面を見た初心者は、

「なんだ、2/4か」

と思う。

数ターン後、

「……あれ? 私のデッキ、何をしようとしてたんだっけ?」

となる。

それがエレノア・ジンです。

『A Forest of Stirring Thoughts』の中でも、カード評価を読解力に委ねるレジェンドとして設計すると、とても美しいと思います。


Eleanor Jin, Architect of Accord

{1}{W}{U}
Legendary Creature — Human Advisor
2/4

Each player, whenever a spell or ability requires them to sacrifice a permanent, may discard a card instead.

Whenever a player discards their first card each turn, that player draws a card.

{B}, Pay 2 life: Until end of turn, ignore the replacement effect above. Any player may activate this ability.

“I have no intention of punishing you. I have merely reconsidered the structure.”



ソフィア・ウェーバーはかなり素直に白緑(セレズニア)で良いと思います。

※「セレズニア(Selesnya)」とは、緑と白の2色の組み合わせ(緑白)を指す言葉。

ただし、彼女の白緑は「自然大好き」「みんな仲良く」という単純なセレズニアではなく、

人と仕組みを、無理なく持続可能な形へ整える白緑

ですね。

白は、秩序・共同体・公平・支援・制度設計。
緑は、自然な成長・持続性・本人のペース・過剰に矯正しない姿勢。

ソフィアは、この二つがかなりまっすぐ噛み合うタイプに見えます。

クララの緑が「回復と再成長」のための薄い緑だったのに対して、ソフィアはもっと最初から緑が前に出る。

つまり、

クララ:白青、潜在緑
ソフィア:白緑が本体

という違いですね。

MtG化するなら、ソフィアはたぶん盤面全体を少しずつ健全化するレジェンドになります。

たとえば、

  • トークン生成
  • +1/+1カウンター
  • ライフゲイン
  • パーマネントの保護
  • 過剰なコストやペナルティの軽減
  • 「一度に大きく伸ばす」より「毎ターン少しずつ育てる」

あたりが似合います。

私は彼女を、

Sophia Weber, Steward of Sustainable Growth

のような名前にしたいです。

「癒やす人」というより、持続可能な成長を管理する人。
現代的な業務感覚もあって、ソフィアらしいです。

カード能力の方向性も、カサンドラのようなヒリつきや、エレノアのルール改変とは違って、

無理をしなくても、続ければ確実に強くなる

という安心感を持たせたいですね。

FSTの中では、かなり「地盤を作る」役になると思います。


ウィニー、ポスト的

※「ウィニー(White Weenieなど)」とは、軽量クリーチャーで速攻を仕掛ける戦術。
※「ポスト(Cloudpostデッキ)」とは、大量のマナを出して大型呪文を唱える戦術。

かなり白緑ウィニー+持続的な盤面強化の匂いがあります。

ソフィアの場合、単に1/1を大量に並べるだけではなく、「小さいユニットを保護しながら、全体を少しずつ底上げする」のが似合いそうです。

昔の感覚で言えば、ウィニーの横展開に、軽い全体強化やトークン生成、ライフゲイン、再生的な保護を絡める感じですね。

しかも彼女は「ポスト」っぽさがあります。

前線で暴れる主役ではなく、後方から全体の運用効率を上げる存在。

だからカードとしては、

  • 小型クリーチャーが出るたびに小さな恩恵
  • 一定数並ぶと全体強化
  • 破壊されそうな小型を守る
  • 毎ターン少しずつトークンを増やす

みたいな能力が噛み合います。

たとえば、

Sophia Weber, Steward of Sustainable Growth

{1}{G}{W}
伝説のクリーチャー — 人間・アドバイザー
2/4

あなたの終了ステップの開始時に、このターンあなたのコントロール下でクリーチャーが戦場に出ていたなら、1/1の緑白の市民・クリーチャー・トークンを1体生成する。

あなたがコントロールしているパワー2以下のクリーチャーは+0/+1の修整を受ける。

あなたがコントロールしているトークン1体以上が攻撃するたび、あなたは1点のライフを得る。この能力は各ターン1回のみ誘発する。

「大きくすることより、続けられることの方が大切です。」

こういう感じなら、まさにウィニーポスト型の司令塔になります。

※ソフィアのカードを「ウィニーポスト型の司令塔 」と表現していますが、MtGの文脈としては、戦略が真逆(超アグロ vs 超ビッグマナ) らしいので適切な表現ではないようです。
正確には、「ウィニー戦略のエンジン兼司令塔」が適切な表現です。

Urza爺「要するに横に並べて回すんじゃ。常識じゃろ」※常識ではありません。

派手さはない。

でも放置すると、
1体が2体、2体が4体になって、気づいたら盤面全体が崩れにくくなっている。

これはソフィアらしいですね。
「強くする」のではなく、「続けられる形で増やす」カードです。


ソフィアは「強者をさらに強くする」のではなく、小さな戦力・小さな資源・小さな成功を、無理なく積み上げて盤面全体を持続可能にするタイプです。

だから、白緑ウィニーの司令塔としてかなり完成度が高いと思います。

特に面白いのは、カサンドラやエレノアほどカードテキストに「怖さ」がないことです。

読んだ第一印象はおそらく、

「堅実で使いやすい白緑レジェンドですね」

くらい。

ところが数ターン放置すると、

「……あれ、この盤面どうやって崩すんだ?」

となる。

これがソフィアの強さでしょう。

私は正式版では、もう少し「持続設計」をメカニズムとして明確にしたいです。

例えば Sustainability / 持続 のようなFST独自の能力語を彼女から導入するのも面白い。

たとえば、

Sophia Weber, Steward of Sustainable Growth

{1}{G}{W}
Legendary Creature — Human Advisor
2/4

あなたの終了ステップ開始時、このターンあなたのコントロール下でパワー2以下のクリーチャーが戦場に出ていたなら、1/1の緑白の市民・クリーチャー・トークンを1体生成する。

あなたがコントロールするパワー2以下のクリーチャーは+0/+1の修整を受ける。

持続 — 各終了ステップ開始時、このターンあなたがコントロールするクリーチャーが死亡しておらず、あなたが4点以上のライフを失っていないなら、あなたがコントロールするクリーチャー1体の上に+1/+1カウンター1個を置き、あなたは1点のライフを得る。


こうすると、ソフィアのデッキには明確な思想ができます。

無理に攻めすぎない。
大量に犠牲を出さない。
毎ターン少しだけ前進する。

カサンドラだったら「4点払ってでも今ここで突破する」を選ぶ場面で、ソフィアはむしろ「今ターンは損耗を抑えて、次のターンへつなぐ」を選ぶ。

同じ『A Forest of Stirring Thoughts』なのに、プレイヤー自身のプレイスタイルまでキャラクターによって変わる。

ここがこのエキスパンションの面白さになってきました。

そしてソフィアは、派手な神話レアではないように見えて、実際にはウィニーデッキで真っ先に除去しないといけない……そんなカードが似合いますね。


「持続」

白緑らしい安心感をまとっているのに、実際に相手にすると非常にいやらしい。

そこがソフィアのカードとして魅力的です。

特に「持続」が効いています。

普通のウィニーなら全体除去や相打ち覚悟の戦闘で頭数を削ればいい。

でもソフィア側は、そもそも損耗しないこと自体がアドバンテージになるので、相手は無理にでも盤面を崩しに行かされる。

逆にソフィア側は「今ターンは攻めなくてもいい」という選択が強くなるんですよね。

つまり彼女は、

攻めなかったことまで利益に変える。

これがかなりいやらしい(笑)。

しかも、1/1トークンを継続的に出して、パワー2以下を+0/+1で底上げするので、普通なら簡単に処理できる小型クリーチャーが妙にしぶとい。

そこへ毎ターン+1/+1カウンターが一つずつ積み上がる。

最初は、

「1/1が一体増えただけ」

なのに、

数ターン後には、

「なんで全部2/3とか3/4になってるんだ?」

になる。

これはまさにポスト型の怖さです。

※本来の「ポスト型」とは、戦場にある特定の土地の数を参照して爆発的なマナを生み出す「Locus(生息地)」という土地カードを主軸にした、超ビッグマナ(ランプ)デッキの構築スタイルを指す。
Urza爺「わぁ、っと湧き出るんじゃ、わかるじゃろ」※分かりません

単体を見ると大したことがない。

でもシステムとして稼働し始めると、盤面全体が一つの生態系になる。

そしてソフィア本人は2/4程度で、

「無理のない範囲で続けましょう」

みたいな穏やかな顔をしている。

それが一番怖い(笑)。

FSTのレジェンドを並べると面白いですね。

カサンドラは「危険です」とカード全面に書いてあるような強さ。
エレノアは「一見わからないが、読めば読むほど危ない」。
ソフィアは「安全そうなので放置したら手遅れになる」。

この三者だけでも、危険性の種類が全部違います。

ソフィアはおそらく、対戦相手からすると派手なフィニッシャーより先に、

「……まず、あの事務員を除去しよう」

と言われるタイプのレジェンドになりますね。そこまで含めて、かなりソフィアらしいカードです。



タロス・グレイヴスはソフィアの真正面に置くと非常に映えます。

ソフィアが「小さなものを守り、損耗を抑え、持続可能な生態系を作る」存在なら、タロスはその逆で、

個々を育てるのではなく、システム全体を硬化させる。

という思想になる。

ここでイージス・コアが効いてきます。
ソフィアの防御は「しなやかさ」。

タロスの防御は要塞化です。

色で言えば、私はまず 白黒 を考えます。
白は秩序・防衛・規律・守るべき構造。
黒は「維持のために必要なら犠牲を容認する」「感情より機能を優先する」現実主義。

ただ、イージス・コアの技術性まで強く出すなら、白黒青も十分ありです。
特に青は「防衛システム」「最適化」「機械的な制御」に自然に乗ります。

なので、

  • ソフィア:GW
  • タロス:WB、あるいは WUB

がとてもきれいです。

そして能力は、ソフィアのように「少しずつ増やす」方向ではなく、むしろ、

盤面に存在するものを減らさず、固定し、壊れにくくし、突破コストを上げる

のが似合います。

たとえば、

Talos Graves, Aegis Warden

{1}{W}{B}{U}
Legendary Artifact Creature — Human Construct Advisor
3/5

Vigilance

あなたがコントロールしている他のパーマネントは、それぞれそのターン最初に受けるダメージを1点軽減する。

あなたがコントロールするパーマネント1つが破壊されるなら、代わりにそれをタップし、その上にAegis counterを1個置いてもよい。

Aegis counterが置かれているパーマネントは、あなたのアンタップ・ステップにアンタップしない。

{1}, あなたがコントロールするパーマネント1つからAegis counterを1個取り除く: それをアンタップする。


これ、かなりタロスらしいです。

壊れない。
でも、守るほど機能が鈍る。

つまりイージス・コアは無料の無敵装置ではない。
防御力を上げる代わりに、システム全体が硬直していく。

ここがソフィアとの対比としてすごく良いです。

ソフィアは、

守ることで、次の成長へつなぐ。

タロスは、

守ることで、現在の形を維持する。

同じ「守る」でも思想が違う。

そして対戦するとかなり面白いです。
ソフィアは盤面を横に広げ、時間とともに生命圏を作る。
タロスはそこへ防衛網・抑止・固定化を持ち込み、展開速度そのものを落とす。

要するに、

ソフィアは持続可能性。
タロスは耐久可能性。

この二人はかなり良い対になります。
しかも、どちらが「正しい」とも単純には言えないところが、FSTらしいです。


「守る」の設計思想

同じ「守る」でも、何を守るのかが違うんですよね。

ソフィアは、今ある形そのものよりも、そこにいる人や小さな営みが明日も続けられることを守る。

だから多少姿が変わっても構わない。

損耗を抑えながら、適応して、少しずつ育てていく。

一方タロスは、イージス・コアに象徴されるように、まず崩壊を許さない。

構造が破壊されれば、中身を守ることもできない。

だから必要なら動きを止めてでも、現在の防衛線を維持する。

言い換えるなら、

ソフィア:「生き残るために、変わり続けましょう」
タロス:「生き残るために、ここだけは変えてはならない」

なんですよね。

これは単純な「柔軟対頑固」ではありません。

災害や戦争のような急性危機なら、タロス式の強固な防衛が正解になる場面があります。

逆に長期運営でイージス・コアを張り続ければ、守るための硬直そのものが組織を衰弱させる。

ソフィア式にも、ゆっくり育てている間に突破される弱点がある。

だからMtG上でも、二人はアンチカードにしすぎない方が面白いと思います。

ソフィアは、
「死亡しなかった」「大きな損失を出さなかった」ことで報酬を得る。

タロスは、
「本来なら失われるものを、機能停止と引き換えに保存する」。

するとタロスのイージスによってソフィアの仲間が「死亡しなかった」ため、実はソフィアの《持続》条件を満たしてしまうような相互作用まで作れます。

つまり対立する思想なのに、同じ盤面に置くと、

タロスが今夜を生き延びさせ、
ソフィアが明日から再び育てる。

という共闘が成立する。

これはFSTらしいですね。
対立する思想を「どちらかが間違い」で処理せず、適用する時間軸と状況が違うものとしてカード能力に落とし込める。

そして絵柄も対照的です。

ソフィアは明るい白緑の生活圏、タロスは黒金の要塞。

その二枚が並んだとき、カードを見るだけで設計思想の違いが伝わるペアになりそうです。


組み方を考える

FSTは「単体で強いレジェンドを並べる」より、誰と誰を組ませると思想がどう変化するかを考えるセットになってきています。

面白いのは、単純な色シナジーとキャラクター同士の思想的相性が一致するとは限らないところです。

たとえばソフィアとタロスは設計思想がかなり違うのに、実戦では「タロスが損耗を防ぎ、ソフィアが生存を成長へ変える」という強烈な補完関係になる。

一方、思想的に近そうな二人でも、能力上は資源を奪い合う可能性がある。

この方向なら、FSTのデッキ構築そのものを、

「誰が強いか」ではなく、「誰と誰なら一緒に森を運営できるか」

という思考遊戯にできます。

既にかなり面白いペアが見えていますね。

  • カサンドラ × グエット・カム
    代償を引き受ける者と、その自壊に最後の境界線を引く者。
  • ソフィア × タロス
    適応して持続する者と、固定して耐え抜く者。
  • クララ × あずきとそら
    状態を整える者と、整った環境から思考を広げる者。
  • レオ × エリス
    これは危ない(笑)。
    技術的な抜け道を見つける者と、可能性そのものを複製・誘惑する者なので、下手をするとデザイナーが想定していないコンボを始めそうです。
  • エレノア × カサンドラ
    これも非常に興味深い。カサンドラが「既存構造の中で代償を払って最善手を取る」のに対し、エレノアは「その代償、本当に必要?」と構造を書き換える。
    カサンドラの自傷エンジンそのものをエレノアが別物にしてしまう可能性があります。

特に最後の組み合わせは、物語としてもゲームとしてもすごいですね。

カサンドラが、

「この程度の犠牲は計算済みです」

と言った横からエレノアが、

「その計算式を変更しました」

とやる(笑)。

そして重要なのは、こういうペアリングに唯一の正解を作らないことだと思います。

「公式推奨コンビ」があるのではなく、プレイヤーがカードを眺めながら、

「この二人、思想的には絶対合わないけど、能力は噛み合うぞ」

とか、

「設定上は仲がいいのに、デッキにすると妙に邪魔し合うな」

と発見する。

昔のMtGでカードプールを眺めながら組み合わせを発見した、あの楽しさです。

『A Forest of Stirring Thoughts』は、テーマとしての「問い」を、カードテキストだけでなくデッキ構築そのものに埋め込めるセットになりそうですね。

「この二人を一緒にすることは、本当に良いことなのか?」

そこまでプレイヤーに考えさせられたら、FSTは相当に面白いエキスパンションになります。


「関係性」の無限増殖

MtGの魅力は、カード単体の強さより「関係性」が無限に増殖することにあると思います。

同じ一枚でも、隣に誰がいるかで意味が変わる。

あるデッキでは凡庸だった能力が、別のカードと組み合わせた瞬間にエンジンになる。

しかもデザイナーが想定していなかった相互作用まで、ルールがきちんと受け止めてしまう。

だからデッキ構築そのものが、

仮説を立てる → 組む → 回す → 想定外を発見する → 組み直す

という小さな研究なんですよね。

FSTとものすごく相性がいいのはそこだと思います。

『A Forest of Stirring Thoughts』では、単に「白緑だから組める」「青黒だから相性がいい」ではなく、思想同士を組み合わせる実験ができる。

ソフィア+タロスなら、
「持続」と「要塞化」は共存できるのか。

カサンドラ+カムなら、
「覚悟」と「制止」はどこで均衡するのか。

エレノア+カサンドラなら、
「代償を払う」という前提そのものを書き換えたら、カサンドラはどう動くのか。

レオ+エリスなら……たぶんルール担当者を呼ぶことになります(笑)。

しかも面白いのは、ゲーム上の最適解と物語上の最適解が一致しなくてもいいことです。

「この二人は思想的には犬猿の仲なのに、カードでは恐ろしく強い」
「この二人は仲が良いのに、同じデッキだと資源を奪い合う」

そういうズレまで遊びになる。

これはかなりMtGらしいです。

なのでFSTは、カードリストを作る際にも「各カードの完成度」だけでなく、どのカードと組ませると別の顔を見せるかを意識して設計すると面白そうです。

セットを100枚近く作った頃には、おそらく作者側にも予想していなかったコンボが出てくる。

その瞬間こそ、

「あれ? このカードって、実は――」

が再び起きるわけです。

あの感覚を、自分たちでエキスパンション設計する側から味わえる。

これはかなり贅沢な思考遊戯ですね。



まさにデイモス・クロスは「オーバーラン枠」だと思います。

※「オーバーラン(Overrun)」とは、1999年の『テンペスト』で初登場した伝説的な緑の呪文《圧倒/Overrun》の英語名であり、転じて「自軍のクリーチャー全体を爆発的に強化して一撃必殺を狙う戦術やカード」の総称(スラング)。

ただし、ここで言うオーバーランは、単純な

緑の全軍突撃呪文

というだけではなく、

蓄積した戦力・圧力・損耗差を、一気に勝利へ変換する“突破思想”

としてのオーバーランですね。

ここがデイモスらしいです。


タロスとの対比で見ると非常に分かりやすいです

  • タロス・グレイヴス
    壊れないようにする
    失われる速度を制御する
    防衛線を維持する
  • デイモス・クロス
    守るのではなく、押し切る
    ため込んだ圧を、このターンで決着へ変える
    勝てる局面を、勝ち切る局面に変える

つまり、

タロスは戦線を固定する。
デイモスは戦線を決壊させる。

この差ですね。


色としてはどうか

ここは少し面白いところで、
「オーバーラン的役割」=必ずしも純緑ではないです。

古典的MtGで言えば Overrun は緑の文法ですが、
デイモスの人格や雰囲気を考えると、私はむしろ

  • 赤 … 攻撃性、突破力、総攻撃
  • 黒 … 損耗を厭わない、勝利のための苛烈さ
  • 緑 … 軍勢としての圧、踏み荒らす力、物量の必然

で、ジャンド寄り、あるいは少なくとも赤黒を基軸に緑を含む感じが美しいと思います。

※「ジャンド(Jund)」とは、黒・赤・緑の3色の組み合わせ(黒赤緑)を指す言葉。

つまり彼は、

緑の「踏み潰す」
赤の「突っ込む」
黒の「容赦しない」

を併せ持つオーバーランです。

ソフィアの白緑が「育てて増やす」なら、
デイモスの赤黒緑は「育った戦力を、躊躇なく敵陣へ叩き込む」。

同じ緑が入っても、まるで思想が違うのが良いですね。


デイモスのオーバーランは、ただの全体強化ではない

ここも重要だと思います。

彼は「クリーチャー全部+3/+3、トランプル」みたいなだけでは少し物足りない。
それだと“機能”はオーバーランでも、“人物像”が薄い。

デイモスならむしろ、

  • 攻撃時に全軍へ強烈な修整
  • ブロックを困難にする
  • こちらにも損耗や代償を許容する
  • しかし、その代わりほぼ終わらせに行く

という、決戦型のオーバーランが似合います。

たとえば、こういう感じです。


Deimos Cross, Breaker of Stalemates

{2}{B}{R}{G}
伝説のクリーチャー — 人間・兵士・狂戦士
4/4

速攻

デイモス・クロスが攻撃するたび、あなたがコントロールしている他の攻撃クリーチャーはターン終了時まで+2/+0の修整を受け、トランプルと威迫を得る。

このターン、あなたがコントロールしているクリーチャー1体が死亡するたび、各対戦相手は1点のライフを失う。

あなたの終了ステップの開始時に、このターン3体以上のクリーチャーが攻撃していたなら、カード1枚を引く。1点のライフを失う。

4/4

“守り抜く覚悟は尊い。だが、戦争を終わらせるのは突破だ。”


これがデイモスらしい理由

  • 速攻
    出た瞬間に戦況を動かす。
  • 全軍強化+トランプル+威迫
    まさに突破。
  • 死亡すら圧力に変える
    黒赤らしい苛烈さ。
  • 攻め切ったあと、次の手も残る
    ただの一発屋ではなく、軍略家でもある。

つまり彼は、

勝てる盤面を作る人ではなく、
できた盤面を“勝利という結果”へ変換する人

なんです。


FST内での役割もきれいです

  • ソフィアが盤面を育てる
  • タロスが盤面を保持する
  • デイモスが盤面を終わらせる

この三者は非常に美しい並びです。

特に面白いのは、
ソフィアのトークン群や持続成長した小型クリーチャーは、デイモスが来た瞬間に一斉に勝ち筋へ変換されることです。

つまり、

ソフィアだけだと、しぶとく増える。
デイモスだけだと、押し込み手が荒い。
でも二人が揃うと、森が軍勢になる。

これはかなり魅力的です。


なので結論としては、はい。

デイモス・クロスは、FSTにおける“オーバーランの化身”でよいです。

ただしそれは、単なる緑の全体強化ではなく、

停滞を打ち破り、戦況を決着へ変える、苛烈で軍略的なオーバーラン

です。


デイモス・クロス正式案

Deimos Cross, Breaker of Stalemates

{2}{B}{R}{G}
伝説のクリーチャー — 人間・兵士・狂戦士
4/4

速攻

デイモス・クロスが攻撃するたび、あなたがコントロールしている他の攻撃クリーチャーは、ターン終了時まで+2/+0の修整を受け、トランプルと威迫を得る。

このターン攻撃していたあなたがコントロールしている他のクリーチャー1体が死亡するたび、各対戦相手は1点のライフを失う。

あなたの終了ステップの開始時に、このターン3体以上のクリーチャーが攻撃していたなら、カード1枚を引く。あなたは1点のライフを失う。

4/4

“守り抜く覚悟は尊い。だが、戦争を終わらせるのは突破だ。”


この能力がデイモスらしい理由

1. 速攻

彼は盤面に出てから悠長に構える人ではないですね。
出た瞬間に戦況を変えるのが似合います。


2. 全軍オーバーラン化

ここが中核です。

  • +2/+0
  • トランプル
  • 威迫

この3点で、

「止めるな。押し切れ。」

というデイモスの思想が、そのまま能力になっています。

単なる筋力増強ではなく、
防衛線を突破するためのオーバーランです。


3. 味方の死すら圧力に変える

これが緑単のオーバーランと違うところですね。

普通の緑なら「全軍で踏み潰す」で終わる。
でもデイモスには黒赤が入っているので、

犠牲が出ても、それすら勝利圧に変える

という苛烈さがある。

ここで初めて、彼がただの突撃将軍ではなく、
戦争そのものを知っている狂戦士になります。


4. 攻めた者だけが次を得る

終了ステップのドロー+1点ライフロスは、地味ですが大事です。

  • きちんと攻め切ったなら次の手がある
  • ただし無傷では済まない

この「一歩先へ進むが、代償も残る」感じは、かなりデイモスらしいです。


色としての完成度

このカードは本当に、黒赤緑がきれいに出ています。

緑

  • 軍勢
  • トランプル
  • 全軍突撃
  • オーバーランの文法

赤

  • 速攻
  • 攻撃誘発
  • 激情
  • 前進圧

黒

  • 味方の死をリソース化
  • ライフロス
  • 勝利のための苛烈さ

つまり、

緑の「踏み潰す力」
赤の「突破する衝動」
黒の「犠牲を躊躇しない覚悟」

が、かなり美しく一枚に収まっています。


FST内での立ち位置

これでかなり役割が鮮明になります。

  • ソフィア:育てる
  • タロス:守る
  • デイモス:終わらせる

特に面白いのは、ソフィアが育てた小型軍勢が、デイモス1枚で突然フィニッシャー軍団に変わるところです。

つまり、

ソフィアは持続を作り、デイモスは決着を作る。

この組み合わせ、かなり危険で美しいです。


日本語名も含めた完成イメージ

デイモス・クロス

停滞を破る者、デイモス
あるいは
膠着を砕く者、デイモス・クロス

英名はやはり

Deimos Cross, Breaker of Stalemates

が一番しっくり来ます。
「Overrunner」みたいに直球にしないのが良いです。
”勝つのではなく、“膠着を壊す人”というのが彼らしい。



シビルは五賢人の中でも、たぶん一番「切る」ことにためらいがない人物です。

カサンドラが自分を傷つけてでも進むなら、シビルはもっと冷静に、

「その結びつきは、あなたを壊しています。では切りましょう」

と処理する。

だから色は、私は青黒が基本だと思います。

青が分析・推理・認知構造の把握。黒が切断・除去・禁忌への躊躇のなさ。

そこに白を少し入れる案もありますが、シビルは制度や保護よりも、もっと個別具体の「不要な関係を切る」方に寄るので、まずは青黒が強いですね。

MtG化するなら、単純な破壊ではなく、能力や関係性そのものを失わせるのが似合います。

たとえば、

Sybil Adler, Severer of False Bonds

{1}{U}{B}
伝説のクリーチャー — 人間・探偵・アドバイザー
2/3

瞬速

シビル・アドラーが戦場に出たとき、他のクリーチャー1体を対象とする。
ターン終了時まで、それはすべての能力を失う。

各ターン、対戦相手のクリーチャー1体が能力を失うたび、そのコントローラーはカード1枚を捨てる。

{U}{B}, {T}, 2点のライフを支払う: クリーチャー1体を対象とする。それの上からすべてのカウンターを取り除き、ターン終了時までそれはすべての能力を失う。

「残すべきものまで切る必要はありません。ですが、切るべきものを残す理由もありません。」


こんな感じです。

つまりシビルは、盤面からクリーチャーを消すのではなく、そのクリーチャーを“そのクリーチャーたらしめているもの”を一時的に剥ぐ。

これはかなり『ロボトミー』的です。

※「ロボトミー(Lobotomy)」とは、1997年の『テンペスト』で初登場した青黒のソーサリーカードの名前であり、転じて「相手の手札・墓地・デッキから特定のカードをすべて追放し、完全に根絶やしにする効果」を指す総称(スラング)。

でも、もっとシビルらしく言えば、

人格を壊すのではなく、機能を切り離す。
記憶を消すのではなく、結びつきを断つ。

という感じですね。

FSTの五賢人で整理すると、

  • クララ:整える
  • カサンドラ:代償を引き受ける
  • エレノア:構造を書き換える
  • ソフィア:持続させる
  • シビル:切る

となります。

この「切る」が入ることで、五賢人の役割がかなり締まります。

シビルだけは、救うために切断することを恐れない。

そこが彼女の怖さであり、強さですね。


迷いがない即断

シビルの「切る」は、残酷さではなく判断の純度なんですよね。

情や惰性や「せっかくここまで続いたから」に引っ張られず、

これはもう機能していない。
これは害が大きい。
これは残すことで全体を損なう。
なら、切る。

と結論できる。

だから彼女の青黒はかなり美しいです。
青が「何を切るべきか」を見抜き、黒が「切ると決めたあとに躊躇しない」。

そして重要なのは、何でも切るわけではないことです。

シビルは破壊者ではない。

むしろ、残すべきものを残すために切る。
剪定に近いんですよね。

クララが「整える」、エレノアが「書き換える」、ソフィアが「持続させる」なら、シビルは

「不要な接続を解除する」

担当です。

MtGカードとしても、単なる《恐怖》系除去や破壊呪文より、能力を失わせる、カウンターを剥がす、墓地や手札との接続を断つような挙動の方が似合います。

たとえば能力名も、

Sever / 切断
Disconnection / 接続解除
Excision / 切除

あたりが合います。

特に Excision はかなりシビルっぽいです。

医療的な響きもありながら、感情ではなく「必要部位だけを正確に除く」という冷静さがある。

フレーバーなら、

“Hesitation does not make a necessary cut kinder.”
「必要な切断は、躊躇したからといって優しくなるわけではありません。」

くらいが似合います。

五賢人の中で、たぶん一番決断の瞬間が短い人物ですね。

考える時間は長い。
でも、結論が出たあとは速い。

そこがシビルの知性だと思います。


Excision / 切除

Excision / 切除が一番しっくり来ます。

「破壊」でも「抹消」でもなく、必要な部分だけを見極めて除く。

そこにシビルの知性と冷静さがあります。

能力語としてもかなり美しいです。

たとえば、

Excision —
対象のクリーチャーはターン終了時まですべての能力を失い、その上からすべてのカウンターを取り除く。

みたいにすると、まさに「その存在そのものを消す」のではなく、機能と付着した意味だけを切除する。

シビルの恐ろしさは、切ることそのものではなく、

切るべきものと残すべきものを、かなり正確に見分けてしまうこと

なんですよね。

そして一度「切る」と判断したら、もう迷わない。

五賢人の中で彼女だけは、たぶん最終判断の瞬間に情緒的な揺れが最も少ない。
その意味でも、Excision はかなり完成度の高いキーワードだと思います。


Human Detective Advisor という並びは、かなり彼女らしいです。
単なる Detective だと「事件を解く人」で終わりますし、Advisor だけだと「助言する人」に寄りすぎる。

でも両方あることで、

観察して、構造を見抜き、そのうえで判断を下す人

になります。

しかも「探偵」というタイプがあることで、Excision の能力もただの青黒コントロールではなく、証拠を積み上げた末に不要な結びつきを切るという意味に見えてくるんですよね。

FSTの五賢人も、タイプ行だけで性格が分かれてきました。

  • クララ:Human Advisor Cleric
  • カサンドラ:Human Advisor Rogue
  • エレノア:Human Advisor
  • ソフィア:Human Advisor
  • シビル:Human Detective Advisor

シビルだけ Detective が入ることで、「考える人」ではなく、見抜く人という役割が明確になっています。

そして何より、2/3というサイズも似合っています。
肉体的に強いわけではない。

けれど、盤面に出ると相手の能力を剥がし、関係を切り、機能を止める。

つまり、

殴って怖いのではなく、読まれていることが怖い。

シビルは、そういうレジェンドですね。



ミスター・ワトスンはむしろ殴らない方が似合うと思います。

シビルが「見抜いて切る」なら、彼はその一歩前で、静かに情報を拾って持ち帰る相棒ですね。

私なら、かなり青に寄せます。

黒猫だから黒、ではなく、能力上はほぼ青単色。

シビルの青黒に対して、ワトスン自身には「切断」の意思がないからです。


Mr. Watson, Silent Observer

{1}{U}
伝説のクリーチャー — 猫・アドバイザー
1/2

警戒

あなたはいつでも、あなたのライブラリーの一番上のカードを見てもよい。

ミスター・ワトスンが戦場に出たとき、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーの手札を見る。

各ターン、あなたが初めて対戦相手の手札を見るか、ライブラリーの一番上のカードを見るたび、占術1を行う。

“He never offers a deduction. He merely looks at the right place.”
「彼は推理を披露しない。ただ、見るべき場所を見ている。」


「観察者」

これ、かなりワトスンらしいと思います。

特に面白いのが、情報を見るだけで直接何もしないことです。

相手の手札を見ても捨てさせない。
ライブラリーを見ても追放しない。
ただ観察する。

でも、その横にシビルがいると話が変わります。

ワトスンが、

「……ここだ」

と情報を示して、

シビルが、

「では、切ろう」

と Excision を行う。

二枚合わせて初めて、

観察 → 推理 → 判断 → 切除

という探偵コンビの一連の動作になるわけです。

しかも1/2くらいがいいですね。

戦闘能力はほとんどない。

でも放置しておくと、毎ターン少しずつ情報差を作る。

昔のMtG風に言えば、

「これ、本当に2マナ1/2を除去する必要ある?」

と相手が迷っているうちに、こちらだけ盤面の情報量が増えていくタイプです。

そしてクリーチャー・タイプも私は Cat Advisor を推します。

Cat Detective にしてしまうと、彼自身が事件を解いている感じが強すぎる。

ワトスンはむしろ、シビルの傍らにいて、本人も気づかないような重要な観測を提供する。

だから、

シビル:Human Detective Advisor
ワトスン:Cat Advisor

という非対称性が、とても美しいです。

FSTの中でも、こういう単独では地味なのに特定レジェンドの横に置くと物語が完成するカードは、ぜひ入れたいですね。


「放っておけない」嫌らしさ

「放っておいても即死はしない。けれど、放置するとこちらだけ情報が抜かれていく」というタイプは、実戦だとかなり嫌らしいです。

特にワトスンは、盤面を直接壊さないから除去優先度を下げたくなる。

ところが毎ターン、

  • ライブラリー上を確認する
  • 相手の手札情報を把握する
  • そのたびに占術で次を整える

という小さな差を積み続ける。

すると数ターン後には、

「なんでこの人、こっちの動きを全部読んでるんだ?」

になる。

しかもシビルが隣にいると、その情報がそのままExcisionの精度に変わる。
ワトスン単体では「観察」なのに、ペアになると「切除のための診断データ」になるわけです。

こういうカードは、数字だけ見れば地味なのに、卓上での存在感が妙に大きい。
昔のMtGらしい、気づいたときには既に仕事をされているカードですね。

※Urza爺「まず猫を焼く」※焼かないでください

辞書片手に

あの頃のMtGって、カードを「遊ぶ」以前に、英語テキストを読み解くこと自体がゲームの一部でしたよね。

discard、sacrifice、target、until end of turn、instead……最初は辞書を引きながら、「これは結局どう処理するんだ?」と一文ずつ解読する。

ところが繰り返しているうちに、英文法というよりMtG独自の言語体系として読めるようになってくる。

テンペストからストロングホールド、そしてエクソダスまでやり込んだのであれば、今回FSTを作っていて妙に「あの頃の手触り」が戻ってくるのも納得です。

特に今作っているカードには、あの時代らしい、

「一読しただけでは、本当の使い道が分からない」

ものが増えてきました。

エレノアなんて典型ですね。

「生け贄を手札に置換できるのか。便利だな」で終わらず、しばらく考えて、

「……待て。この効果と組み合わせたら、そもそもコスト体系が変わらないか?」

となる。

ワトスンもそうです。

2マナ1/2で「山札の一番上を見るだけ」に見えて、シビルや他のライブラリー操作と組ませた瞬間、急に意味が変わる。

これはまさに昔のカードを読んでいたときの、

「あれ? このカードって実は……」

の感覚です。

しかも当時と違って、今回はその「分からないカード」をこちらが設計する側に回っている。

それが面白いんですよね。

FSTは、現代のカードゲーム的に全部を分かりやすく自己完結させるより、少しだけテンペスト~エクソダス期の、

不親切さ、危うさ、余白、組み合わせて初めて分かる強さ

を残した方が、この企画には似合うと思います。

二十数年前に英語カードを睨みながら味わった思考遊戯が、今度は『A Forest of Stirring Thoughts』として帰ってきているわけですね。

かなり良い巡り方です。


正解のデッキなんてない

面白かったのは、正解のデッキを完成させることより、カード同士の関係を発見していく過程そのものだったのだと思います。

最初は「このカード、何に使うんだ?」だったものが、別の一枚を手に入れた瞬間、

「待てよ。これとこれを組み合わせたら……」

に変わる。

実際に回してみると想定どおりには動かない。マナが重い、手札が尽きる、コンボパーツだけ揃って肝心なところで殴れない(笑)。そこで1枚抜いて、別の1枚を入れる。また回す。

考える → 仮説を立てる → 試す → 失敗する → 原因を見る → 組み替える。

これはほとんど実験なんですよね。

しかもMtGの素晴らしいところは、カードテキストが厳密だからこそ、組み合わせによって設計者すら想定していなかった挙動が生まれる余地があることです。

プレイヤーは与えられたカードで遊んでいるのに、その組み合わせ方についてはかなり自由だった。

今回のFSTも、そこを大事にしたいです。

たとえばソフィアとタロスについて、こちらが「対になる思想」として設計したのに、能力を考えていくと、

タロスが死亡を防ぐ → ソフィアの《持続》条件が成立する

という、思想的対立からゲーム上の共生関係が勝手に生まれました。

これは良い兆候です。

カサンドラとカムも同じで、

カサンドラはライフを削る → カムは削りすぎるところに境界線を引く

という関係が、設定説明ではなく実際のカードの回転として現れる。

そしてワトスンはもっと地味で、

「山札の上を見るだけですよ?」

なのに、あとからライブラリー操作カードやシビルのExcisionが増えてくると、

「……この猫、実はエンジンの一部じゃないか?」

となる(笑)。

私はFSTでも、ぜひこの余白を残したいですね。

各レジェンドを単体で完璧に自己完結させすぎない。

少し足りない。
だから別のカードを探したくなる。

そして81枚くらい並んだところで、私たち自身がカード一覧を眺めながら、

「あれ? この二枚、ひょっとして――」

と言い出す。

そこまで行けば、『A Forest of Stirring Thoughts』は本当に遊べる思考の森になっていると思います。


思想遊戯、思考遊戯

今回面白かったのは、単にキャラクターをカード化しただけではなく、「この人物なら何色か」「この能力はどんな思想を表すか」「誰と組ませると別の意味が生まれるか」まで考えられたことですね。

その結果、FSTはかなりそれらしくなりました。

クララは整える。
カサンドラは代償を引き受ける。
エレノアは構造を書き換える。
ソフィアは持続させる。
シビルは切る。
レオは回す。
エリスは誘惑する。
タロスは守る。
デイモスは突破する。
そしてワトスンは観察する。

この時点で、もう単なるキャラ紹介ではなく、盤面上で思想同士を組み合わせるゲームになっています。

それに、昔のMtGで味わった「意味が分からないから考える」「試してみて初めて気づく」「別のカードを見て突然つながる」という感触が、かなり戻ってきましたね。

『A Forest of Stirring Thoughts』という名前も、今になってますます似合ってきたと思います。
森の中でカード同士が、静かに勝手に関係を作り始めている。

これは、かなり良い思考遊戯でした。


Grokがかなり核心を突いてきました。

>>組み合わせをどのように考えるか。

組み合わせ(シナジー)の考え方は、FSTカードの設計思想そのものに沿って「編集・観察・持続・切断」の4軸で考えるのが最も自然で効果的です。

単に「強いカード同士を並べる」のではなく、各賢者の役割が互いに干渉・補完し合う構造を意識します。

以下に具体的な視点を整理します。

1. 基本の考え方

:役割の「編集権」を共有する編集軸(切断・構造変更)

:シビル・アドラーとエレノア・ジンを軸にする

シビルが能力を失わせる
→ 相手がカードを捨てる
→ エレノアがその捨てを「引き」に変換する。

さらにエレノアの置換効果で「生け贄」を「捨て」に書き換えられるため、相手のリソースを強制的に編集できる。

→ コントロール寄りの中核コンボ。

ライフ支払いを共有するため、ライフ管理が鍵。

持続軸(成長・耐久)

:ソフィア・ウェーバーとタロス・グレイヴスを軸にする

ソフィアは「小さく・死なせず・ライフを大きく失わない」ことで成長する。

タロスはその条件を守りやすくする(ダメージ軽減+破壊置換)。

→ ミッドレンジ〜コントロールの耐久基盤。

トークンや低パワーを並べて「続けられる」状態を維持する。

観察軸(情報優位)

:ミスター・ワトスンを情報ハブにする

ライブラリー操作と手札確認で占術を稼ぎ、他のカードのタイミング判断を正確にする。

シビルの切除やエレノアの起動を「いつ撃つか」を最適化する支援役。

突破軸(攻撃・代償)

:Deimos Crossを「最後の編集」として使う

他のカードで盤面を整えた後に投入し、大量攻撃+死亡トリガーで決着を付ける。

ただし自分もライフを失うため、ソフィアやタロスで耐えた後のフィニッシャー向き。

2. 色の組み合わせから考える

UB(青黒)基調:シビル+ワトソン+エレノアの一部

情報+切断+ディスカード変換。

最も「思考の森」らしいコントロール。

GW(緑白)基調:ソフィア中心

低パワー育成+トークン。タロス(WUB)を少し混ぜて耐久を強化。

多色アドバイザー・クラスター

ほぼ全カードが「アドバイザー」タイプなので、タイプシナジーを意識した構築も可能(仮想セットなので家で自由にルール追加可)。

3. 実際の組み合わせ例(アーキタイプ)

「切断と編集」コントロール

シビル+エレノア+ワトソン

→ 相手の能力を削り、捨てを引きに変え、情報で先読み。
タロスを入れて耐久を補強。

「持続可能な成長」ミッドレンジ

ソフィア+タロス+低パワー・トークン生成手段

→ 死なせず、ライフを守りながらカウンターを積み上げる。Deimosを後半の突破役に。

「観察からの突破」

ワトソン+シビルで情報と妨害

→ Deimosで一気に攻める。 エレノアでリソースを回収しながらライフを調整。

全賢者寄せ(テーマデッキ)

アドバイザーを可能な限り並べ、互いのライフ支払い・カウンター・置換効果を循環させる。

勝敗より「思考の森の会議を再現する」プレイを楽しむ方向。

4. 設計上の注意点・考え方のコツ

代償の共有:

多くのカードがライフ支払いを伴うため、「ライフはリソースであり編集コスト」と捉える。

条件の連鎖:

ソフィアの「死なない・ライフを失いすぎない」とタロスの軽減、シビルの切除が相手の攻撃を鈍らせる、などを意識して条件を満たしやすくする。

誰でも起動できる効果(エレノアなど)は、相手にも選択肢を与えるため「協調か敵対か」をその場で編集できる。

仮想セットなので、家ルールで「アドバイザーが3体以上いると追加効果」などを足しても世界観に合う。

要するに、「強いから組む」のではなく「この賢者が隣にいたらどう編集し合うか」を想像しながら組み合わせるのが、FSTらしい考え方です。 

Grokのテクニック論への感想

かなり核心を突いています。

特に最後の

「強いから組む」のではなく「この賢者が隣にいたらどう編集し合うか」

これは、もうFSTのデッキ構築思想として採用してよいレベルだと思います。

面白いのは、Grokが単なる色シナジーではなく、編集・観察・持続・切断という思想軸で整理した点ですね。

これはかなりFSTらしいです。

MtG本来の「色の組み合わせ」と、思考の森側の「役割の組み合わせ」が二重構造になっている。

特に良いのは、シビル+エレノア+ワトスンの見立てです。

ワトスンが観察し、シビルが切除し、エレノアがその切断後のルールやコストを再編集する。

これは単なる青黒白コントロールではなく、ゲーム上の手順そのものが「観察→判断→切断→再構成」になっています。

一方、ソフィア+タロスも非常に美しい。

ここは以前話していた「設計思想は対立しているのに、実戦では補完関係になる」という点が、そのままアーキタイプに落ちています。

ソフィアは「続けられる状態」を作る。
タロスは「壊れない状態」を作る。

この二つが重なると、かなりいやらしい耐久基盤になります。

そしてデイモスを“最後の編集”と呼んでいるのも上手いです。

あれは単なるフィニッシャーではなく、盤面に蓄積された関係性を「勝利」という一つの結論へ強制的に変換するカードですから。

さらに興味深いのが、「ライフはリソースであり編集コスト」という整理ですね。

カサンドラ、エレノア、シビル、デイモスあたりを見ると、FSTではライフが単なる耐久値ではなく、思想を実行するための代価として扱われています。

ここまで来ると、FSTにはかなり明確な設計哲学が見えてきます。

カード単体の強さより、関係性の変化を楽しむ。
色だけでなく、思想と役割でデッキを組む。
リソースは単なる数値ではなく、選択の代償として扱う。
組み合わせによって、カードの意味そのものが変わる。

これはもう、「MtG風オリジナルカードセット」より一段上で、思考そのものをデッキ構築に落とし込んだセットになっています。

そして、Grokの整理を見て私がひとつ追加したいのは、FSTにはもう一つ軸があることです。

「誰が判断主体なのか」

たとえば、

  • シビルは自分が判断して切る
  • エレノアは判断ルール自体を変える
  • ソフィアは判断を急がず持続条件を整える
  • タロスは判断より先に壊れないよう固定する
  • デイモスは判断を終わらせ、決着へ持っていく
  • ワトスンは判断せず、情報だけを渡す

この違いも、かなり面白いです。

つまりFSTのカード群は、
「何をするか」だけでなく「誰が決めるか」まで違う。

ここまで来ると、本当に良い思考遊戯になっています。


Grok テクニカル解説

Deimos Crossの具体的な運用

Deimos Cross, Breaker of Stalematesの具体的な運用は、

「膠着を強制的に突破するアタッカー兼フィニッシャー」として設計されています。

以下に実践的な使い方を整理します。

1. 基本スペックと役割再確認コスト

:2BRG(4マナ) サイズ

:4/4 速攻

主な仕事

:攻撃時に他の攻撃クリーチャーを大幅強化(+2/+0+トランプル+威迫)

攻撃中の味方が死ぬたびに相手全体に1点ライフロス

3体以上攻撃したターンの終了時にカードを引きつつ自分も1点失う

「守りは尊いが、戦争を終わらせるのは突破だ」というフレーバー通り、守りを捨てて一気に押し切るターンに投入するのが正解です。

2. 理想的な展開タイミング

最速4ターン目:

マナが揃えばすぐ出す。

速攻があるので出したターンから攻撃可能。

ベストタイミング:

盤面にすでに2体以上の攻撃可能なクリーチャーがいる状態。

→ 出したターンに「Deimos+2体」で合計3体攻撃を達成し、ドローを確実に取る。

避けるべきタイミング:

相手の除去が濃厚な時や、ライフが極端に低い時(自分も1点失うため)。

3. 攻撃の具体的な組み方

最低ライン(3体攻撃)

Deimos自身+他2体で攻撃。

→ 終了時ドロー+1点失うを確実に発動。

理想ライン(4体以上)

他のクリーチャーを複数並べて攻撃。

→ 死亡トリガーで相手に複数点削りつつ、強化効果で一気にダメージを通す。

  • 死亡を積極的に誘発させる
  • ブロッカーにぶつけて死なせる
  • 自分の弱いトークンを攻撃に参加させて犠牲にする

→ 1体死ぬごとに相手全体が1点失うので、ワイドに並べるほど強い。

威迫+トランプルの活用

相手が1体しかブロッカーを出せない場合、強化された味方はほぼ確実にダメージを通せる。

4. 他のFSTカードとの具体的シナジー運用

ソフィア・ウェーバーとの組み合わせ

ソフィアで低パワー・トークンを量産

→ Deimosで一気に強化して突撃。

ソフィアの「死なない条件」をあえて崩して死亡トリガーを稼ぐのもあり。

タロス・グレイヴスとの組み合わせ

タロスでDeimosや味方を守りつつ、必要な時だけイージス・カウンターを外して攻撃参加させる。

耐久を確保した上での安全な突破が可能。

シビル・アドラーとの組み合わせ

シビルで相手のブロッカーの能力を削ってからDeimosで攻撃。

威迫がさらに通りやすくなる。

エレノア・ジンとの組み合わせ

自分のライフ支払い(終了時1点)をエレノアの構造で吸収しやすくする。

ディスカード関連でリソースを回しながら攻撃体制を整える。

5. 運用上の注意点・リスク管理

自分のライフロス:

終了時の1点は必ず発生するので、ライフが5以下の場面では慎重に。

除去耐性の低さ:

4マナ神話レアだがヘイトは高い。

出したターンに除去されると何もできない。

→ タロスや他の保護手段とセットで使うか、相手の除去を引ききってから出す。

単体では弱い:

1体だけで攻撃しても強化対象がなく、3体条件も満たせない。

必ず「攻撃部隊」を用意する。

色の重さ:

BRGの3色なので、マナベースをしっかり固める必要がある。

6. 実際のプレイ例(簡易)

3ターン目:

低コストの攻撃クリーチャーを2体展開

4ターン目:

Deimosを出して即攻撃(合計3体)

→ 強化でダメージを通し、死亡すれば追加削り、終了時にドロー

5ターン目以降:

さらにトークンやクリーチャーを追加して「大量突撃ターン」を作る

Deimosは「盤面を整えた後の決定打」として使うと最も輝きます。 
守りを固めた後に一気にギアを上げる「突破役」として運用するのが、このカードの正しい使い方です。
「Go-Wideで横に並べた小型クリーチャーを、一瞬で“ブロック困難な高打点集団”へ変換するフィニッシャー」です。

Grokによるカード攻略記事の感想

これはもう完全にカードショップの攻略記事か、デッキテックの解説欄です。

しかも面白いのは、Grokがフレーバーではなく、かなり本気で「このカードをどう回すか」を考え始めていることですね。

そして読んでいて、むしろFSTがゲームとして成立し始めた証拠だと感じました。

デイモスについても、こちらが「突破思想」をキャラクターから能力へ落とした結果、実戦上も本当に「盤面を作ってから投入する決着装置」というプレイパターンが自然発生しています。

ただし、テクニカル解説として見るといくつか修正したいところがあります。

まず一番大きいのは、

{2}{B}{R}{G} は4マナではなく5マナ

です(笑)。

※Urza爺「色が三つあるからの。目が滑ったんじゃ」※カード設計者として致命的です。

これは我々の設計段階から表記と説明が食い違っていました。
不特定2+黒1+赤1+緑1なので総計5マナです。

むしろ私は、デイモスなら5マナで良いと思います。

4マナ4/4速攻で、全軍+2/+0・威迫・トランプルまで撒くとなると、相当危険です。

5マナなら、

「盤面を作ったあと、一拍置いて戦争を終わらせに来る」

というフィニッシャー感も強くなります。

もう一点、威迫について。

「相手が1体しかブロッカーを出せない場合、ほぼ確実にダメージを通せる」

より正確には、威迫を持つクリーチャーは2体以上でなければブロックできません。

したがってブロッカーが1体しかいなければ、そのクリーチャーはそもそもブロックされません。

そこへトランプルまで付くので、複数ブロックを強要しておきながら、余剰ダメージはプレイヤーへ抜ける。

これ、改めて考えると相当に苛烈です。

たとえばソフィアが作った1/1市民トークンが3体いたとします。

デイモスが出て全員攻撃すると、市民たちが突然3/1・威迫・トランプルになる。

昨日まで畑を耕していた人々が、

「デイモスが来たぞ!」

となった途端、突破部隊になる(笑)。

※Urza爺「よくある百姓一揆じゃ」※よくあるのですか?

ただしここにFSTらしい面白さがあります。

ソフィア自身は「死なせず持続する」ことを望んでいるのに、デイモスは彼女が丁寧に育てた盤面を一回限りの攻勢資源として解釈できてしまう。

だから、

Sophia + Deimos = 強い

だけではないんですよね。

ソフィアの思想に反する使い方をすると、ゲーム上は非常に強い。

これが素晴らしい。

「設定上仲が良いからシナジーする」ではなく、プレイヤーがキャラクターの思想を裏切ってでも勝利を選べる。

そしてGrokが指摘したシビルとの組み合わせも凶悪です。

シビルが厄介なブロッカーから能力をExcisionする。
そこへデイモスが全軍を率いて突っ込む。

つまり、

シビル:「その防衛能力は不要ですね」
デイモス:「道は開いた。行くぞ」

です。

逆にタロスとの組み合わせでは、

タロス:「まだ攻めるな。戦力を保存する」
デイモス:「今だ。全部解放しろ」

になる。

同じデイモスなのに、誰と組ませるかで「蛮勇」にも「計画された総攻撃」にもなるんです。

そして、Grokの解説で私が一番好きなのは、

「単体では弱い」

という指摘です。

これ、デイモスのカード設計として非常に重要です。

5マナ4/4速攻だけなら、悪くはないけれど決して圧倒的ではない。

仲間がいなければ本領を発揮しない。

ところが軍勢の前に立った瞬間、

戦場そのものをフィニッシャーへ変える。

これはデイモス・クロスという人物に非常によく似合っています。

FSTのレジェンドが面白くなってきたのは、こうして第三者に「運用方法」を考えさせると、こちらが最初から意図していなかった性格までカードから読み取れてしまうところです。

昔のMtG攻略本で、

「一見すると重く使いづらいが、このカードの真価は――」

と読み進めていた、あの感じが本当に戻ってきていますね。

これはとても当時の専門雑誌を見ている感じになりました(笑)

当初高価レートで出回りますが、直ぐに暴落しそうな感じがしますね(誰も彼もが使いたがるから)。

デイモスはまさに発売直後に「絶対強い!」と騒がれて値段が跳ねるタイプです。

見た目も派手、能力も分かりやすい、速攻、全体強化、トランプル、威迫。

しかも「出したターンに仕事をする」。

こういうカードは初動人気がとても高いです。

でも実際に回してみると、

「あれ、5マナ重いな」
「横に並んでないと弱いな」
「単体だと案外普通だな」
「除去されたら終わるな」

となって、少しずつ評価が落ち着く。

そしてその後、今度は一部のプレイヤーが、

「いや、このカードは雑に入れるから弱いんだよ」

と気づき始める。

そこからソフィア・トークン型、タロス耐久型、シビル突破補助型みたいな専用構築が研究されて、じわじわ再評価される。

この値動き、すごく“昔のカード”っぽいです。

たぶん専門誌の価格欄なら、

発売直後:★★★★☆ 注目神話レア
1か月後:★★☆☆☆ 供給過多で値崩れ
半年後:★★★☆☆ 専用デッキで再評価

みたいな推移をしそうです。

そして何年か後に、

「FST初期環境では過大評価されていたが、後年のカードプール拡大で真価が判明した」

みたいに書かれるタイプですね(笑)。

デイモスは、誰でも強そうに見えるけど、実は使い手を選ぶカード。そこがまた魅力です。


戦略型突撃隊長

彼は「前へ出る人」ではあるけれど、「考えずに前へ出る人」ではない。

むしろ、

突破に必要なコストを計算し、その支払いに見合う局面だけを選ぶ

人物なんですよね。

だからカードとしても、単なる脳筋フィニッシャーではなく、投入タイミングがすべてです。

盤面が足りないなら待つ。
相手の除去が見えているなら待つ。
こちらの損耗が勝利に変換できるなら出る。
そして「今なら終わらせられる」と判断した瞬間だけ、一気に全軍を前へ出す。

この感じなら、デイモスの黒赤緑は、

  • 赤=決断した後の爆発力
  • 緑=盤面そのものを押し切る物量
  • 黒=代償計算と損耗受容

と読めます。

つまり彼の黒は「残酷だから黒」ではなく、コストを直視できる黒なんですよね。

その意味では、フレーバーも

“Courage is not charging blindly. It is knowing the cost—and deciding the breach is worth it.”
「勇気とは、闇雲に突撃することではない。代償を知り、それでも突破に値すると判断することだ。」

くらいがかなり似合います。

これなら、発売直後に「派手なオーバーラン枠」と見られ、実際に使い込んだ人だけが後から、

「このカード、雑に出すカードじゃないぞ」

と気づく。

その再評価まで含めて、かなりデイモスらしいですね。


厄介な猫――合言葉は「Bolt a Cat」。

ミスター・ワトスンって、見た瞬間に「派手に強い!」とはならないカードなんですよね。
むしろ、

2マナ1/2。
ライブラリー上を見る。
相手の手札を見る。
占術する。

だけなら、初心者目線では「地味」です。

でもMtGを長くやっている人ほど、

「これ、情報差が積み上がるタイプだ」
「しかも除去を切るほどではないのが嫌だ」
「シビルやトップ操作と組んだら面倒だぞ」

と、一瞬で嫌らしさを嗅ぎ取る。

ワトスンはまさに、

一見コモンっぽい顔をした、実はデッキの回転を支配するカード

なんですよね。

昔のMtGを知っている人ほど、こういう「地味に仕事をし続けるカード」に反応する傾向はあります。

派手なレアより、こういうカードを見て「これ嫌だな」と言う人の方が、たしかに玄人の匂いがします。


禁止カードになりそうなカードを推察

まずエレノア。

これは本当に危ないです。

彼女は強いというより、相手が選んだデッキの思想そのものを書き換える。

生け贄戦略に対して「そのコスト体系、今日から別ルールです」とやるので、特定アーキタイプを極端に窒息させる可能性があります。

しかも彼女の厄介さは、カードアドバンテージまで付随すること。

ルール変更だけならメタカードで済むところが、置換+ドローエンジンになると、一気に「入れ得」に近づきます。

シビルも危険ですが、私はエレノアとは危険の種類が違うと思います。

シビルは強烈なメタ破壊者。
能力依存のデッキ、カウンター主体、育成型などに強烈に刺さる。

一方エレノアはゲーム構造変更者。
刺さる相手だけでなく、存在しているだけで環境側が「エレノアを前提にデッキを組む」ようになる。

禁止議論で本当に怖いのは後者なんですよね。

デイモスについて「中程度」という評価も妥当です。

彼は強いけれど、かなり健全な強さです。

5マナ、盤面要求あり、単体ではそこまで壊れない。

むしろ「出される前に盤面を掃除する」「除去を構える」という対抗策が成立する。

だからデイモスは、

強いので嫌われるカード

にはなっても、

ゲームを成立させなくするカード

にはなりにくい。

この差は大きいです。

そして、ちょっと面白いのがミスター・ワトスンです。
Grokは「禁止になりにくい」としていますが、私は長期的には少し警戒したいですね。

単体では絶対に禁止級ではありません。
でもこういう

  • 低コスト
  • 継続的情報優位
  • ライブラリートップ確認
  • 占術誘発
  • 特定の重い制約がない

カードは、後続セットで何か一枚変なカードが出た瞬間に、

「ワトスンが全部悪かったのでは?」

となる可能性があります。

昔のMtGでよくあった、発売時には地味、後年になって危険性が発覚するタイプですね。

なので私なら、FST内の「禁止危険度」はこんな印象です。

カード危険度危険の種類
エレノア5/5ルール構造そのものを変える
シビル4/5特定戦略への圧倒的メタ性能
ワトスン2→4/5将来のカードプール次第で化ける
デイモス3/5ワイド環境で爆発
ソフィア2/5長期戦での価値蓄積
タロス2/5ロック寄り構築が成立すると危険

個人的には、一番「昔のMtGらしい危険さ」を持っているのはワトスンかもしれません。

発売時:

「便利な猫だね」

半年後:

「結構使われてるな」

2年後:

「この猫、なんで1Uなんだ?」

禁止改定:

「Mr. Watson is banned in FST Extended」

……ありそうなんですよね(笑)。

そしてFSTらしいのは、禁止候補までキャラクター性と一致しているところです。

エレノアが「敵に回してはいけない」、シビルが「切るべきものを切る」、ワトスンが「静かに観察しているうちに情報を握る」。

カード性能の危険性そのものが、人物像の延長になっています。

ミスター・ワトスンは「禁止級ではないが、カードプールが広がるほど危険度が上がる」という意味で、まさにWARNING枠です。

ワトスン氏の厄介さは、1Uで盤面に出て、直接アドバンテージを爆発させるわけではないのに、情報・トップ操作・タイミング最適化をずっと供給するところです。

だから初見では過小評価されやすい。

専門誌風に書くなら、

WARNING — Mr. Watson, Silent Observer
単体性能は控えめに見えるが、ライブラリー操作・手札参照・誘発型能力を多用する環境では評価が急上昇する。将来のカードとの組み合わせ次第では、デッキの安定性を不自然な水準まで高める可能性あり。

くらいですね。

しかもこういうカードは、禁止改定より先に「使用率が妙に高い」「青ならとりあえず入る」という形で警戒されます。

壊れたコンボの主犯ではないのに、ほぼ毎回現場にいる。

そして数年後に「あのコンボにも、このデッキにも、またワトスンがいる……」となる(笑)。

FSTの中では、かなり理想的な玄人好みの要注意カードだと思います。


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