- 『思考の森Project』版Magic the Gatheringと言う夢を見ました
- Geminiが考える【「思考の森Project」禁止・制限告知(B&R)想定ランキング】
- それは話を盛り過ぎ
- ただし――。
- Geminiのターン
- 禁止理由そのものに個性があるB&R史
『思考の森Project』版Magic the Gatheringと言う夢を見ました

ほっほっほ、また来なさったなお若いの。
――儂かの? そうさのぉ……ではここでは『Urza』とでも名乗っておくとしようかの。
これは遙か過去の物語じゃ。
儂はその頃、一つの魔法書に夢中であったのさ。
それは過去の魔法使い達の、叡智と汗の結晶の賜。
一介の研究者であった若き頃、その魔法書の一冊を、儂は必死に読み取る毎日であったのさ。

この魔法書の名は『The Stirring Thoughts Block』という。
これはお互いが正に命と精神力を賭けて、お互いの知識の技量を競う、魔法の遊戯なのさ。
ルールは、至って簡単じゃ。
互いのプレイヤーは、それぞれ魂のカウンターを20個持つ。
プレイヤーは、自らが支配する土地――平地、森、島、山、沼から、それぞれ固有の魔力の源である『マナ』を1回につき1つ、引き出すことができる。
その5色のマナを用い、下僕であるクリーチャーを召喚し、魔法具(アーティファクト)を支配し、魔法を発動させることができる。
ゲームの勝敗は、相手プレイヤーの魂のカウンター20個を先に奪うか、相手の魔法のライブラリーを先に失わせれば、基本、そのプレイヤーの勝利となる。
――ほほっ、お若いのも、この『決闘』に興味がおありと見えるの。
折角の機会じゃ。
儂と共に、この深淵の世界へ、旅をしようではないか――。
前回のおさらい

――はい。またUrza爺は明後日の方向に行ってしまいました。
私が引き継ぎますね。
前回#2は、――よりコアでディープなカードよもやま話、そして『クバネティスの受難 The Ordeal of Kubernetes』の魅力的なカードたち――について扱いました。

読者は相変わらず、置いてけぼりじゃがの。
――聞こえない、聞こえない。Urza爺の声なんか、聞こえません。
では、マイクを返します。
Geminiが考える【「思考の森Project」禁止・制限告知(B&R)想定ランキング】
マジック:ザ・ギャザリングの公式開発(WotC)における禁止基準――「0~1マナ域のマナ加速(Fast Mana)」「2マナ以下の不当な情報・選択肢格差」「ゲーム体験を著しく損なう不快な遅延・拘束(Unfun/Stax)」に照らし合わせ、禁止送りになる危険度順に格付けします。
S-Tier:即死・環境破壊級(全フォーマットで緊急禁止レベル)
第1位:《Golden Apple》
- 禁止想定フォーマット: ヴィンテージ(即制限)、レガシー/モダン/パイオニア/スタンダード(緊急禁止)
- 禁止理由: 1マナ・アンタップイン・有色マナ生成という歴史的タブーの侵犯
- 分析:
- MtGの歴史上、無色1マナで出せて即座に好きな色マナが出る置物はほぼ存在しません(《太陽の指輪》《魔力の墓所》ですら無色2マナ、《モックス》系は厳しい条件付き)。
- 1ターン目に置くだけで実質0マナ投資となり、後続の2〜3マナ域へのアクセスを1ターン早めます。色事故を完全に根絶し、すべての多色デッキが4枚積む「デッキの均質化(Homogenization)」を引き起こすため、印刷後最速で禁止改定が出る筆頭です。
第2位:《ミスター・ワトスン / Mr. Watson, Silent Observer》
- 禁止想定フォーマット: レガシー、パイオニア、モダン
- 禁止理由: 2マナがもたらす「完全情報戦」と毎ターンの無償占術による遅延
- 分析:
- 《ギタクシア派の調査》や《師範の占い独楽》が禁止された理由のハイブリッドです。
- アルマが「自ターンのみ」、デメテルが「ターン1回」と節度を守っているのに対し、ワトスン氏は「相手ターンも含めて常時」トップを見続けられます。相手の手札を公開させた上で、自分と相手のターンごとに毎ターン占術1が誘発するため、ゲームの非公開情報が完全に崩壊し、フェッチランドやドローのたびに占術確認が発生してトーナメントの制限時間を圧迫します。
A-Tier:アーキタイプ独占・ゲーム体験破壊級(特定フォーマット禁止)
第3位:《Leo Keres, Circuit Glitch》
- 禁止想定フォーマット: モダン、レガシー
- 禁止理由: 速攻・マナ生成・生け贄誘発・2ndスペルアンタップによるコンボ適性
- 分析:
- 3マナ速攻で出た瞬間にGadget(実質《水蓮の花びら》)を生み出し、自身のアタックでもう1つ生成。
- 2つ目の呪文を唱えるとアーティファクトとクリーチャーをアンタップするため、生み出したGadgetをアンタップして即座にマナを水増しできます。《ミシュラのガラクタ》や軽量スペルと組み合わせたストーム/アーティファクトコンボの核として環境を歪める危険度を誇ります。
第4位:《Agamemnon Olympiea, Lord of Predetermined Futures》
- 禁止想定フォーマット: 統率者戦(EDH / Banned as Commander)
- 禁止理由: 卓全体の手札を毎ターン吹き飛ばす「最悪のプレイ体験」
- 分析:
- 構築戦(60枚)では6マナの重さと自爆リスクから適正なフィニッシャーに留まりますが、統率者戦(EDH)では別物です。
- 統率者領域から確実に供給され、《巻物棚》《師範の占い独楽》《森の知恵》などで自分のトップだけを確定させた瞬間、対戦相手3人全員の手札を毎ターンのドローで消滅させ続ける一方的ソフトロックが完成します。「誰もゲームをプレイできなくなる」という理由で、EDH推奨委員会から名指しで禁止される典型例です。
第5位:《Kronos Olympiea, Tragic Executor of Optimization》
- 禁止想定フォーマット: スタンダード、パイオニア
- 禁止理由: 護法3点を盾にした4マナ4/5による先攻制圧(テンポの圧殺)
- 分析:
- 4マナ4/5という高スタッツに「護法3点ライフ」が付いているため、着地した返しに対処しようとすると莫大なテンポとライフを失います。
- 毎ターン相手の主軸(「クリーチャー」や「土地」)に2マナの課税をかけ、相手が動けば自身が諜報・ドローで差を広げるため、「先攻3〜4ターン目に出した側がそのまま勝つ」大味な先攻有利環境を作り出します。
B-Tier:要監視・Tier 1牽引枠(強烈だが対策可能なパワーカード)
| 順位 | カード名 | 主な危険度と監視理由 |
|---|---|---|
| 6位 | Eris Vane, Golden Apple Witch | 護法(手札捨て)の硬さと2ndスペルでの非生物コピー。追放キャスト時の1点ドレインが累積するとライフ差があっという間に開くスゥルタイの絶対的核。 |
| 7位 | Eleanor Jin, Architect of Accord | 生け贄を手札捨てへ置換するルール書き換え能力。相手の布告除去やサクリファイス戦略を完全に機能不全に陥らせるサイドボードの悪夢。 |
| 8位 | Cassandra Kuan, Ember Beneath Reason | 3マナ3/4で全員ディスカード&ドロー。手札を捨てた際の残り火カウンターによる-4/-4除去や火力が、盤面干渉力として高すぎる水準。 |
C-Tier:健全・適正枠(デザインの美学が保たれた良カード群)
- 《Demeter Keres, Kubernetes of Possibility》
- 「Once each turn」の回数制限と、トップ3枚をランダムに戻す仕様により、無限連鎖に陥らない美しい適応型アドバンテージ源。
- 《Alma Keres, Keeper of What Comes Next》
- トップ確認が「During your turn(自ターンのみ)」に制限されており、相手ターン中の介入を許さない良識的な設計。
- 《シビル・アドラー》《ソフィア・ウェーバー》《Guet Cam》《Clara Harmonia》《Deimos Cross》《Azukisora》
- いずれも明確なシナジーや発動条件(持続、ライフ支払い、攻撃参加、瞬速タイミング)が設定されており、環境の多様性を支えるグッドスタッフ/アーキタイプ牽引役として機能します。
全体として、下位マナ域のインフラである《Golden Apple》(マナの破壊)と《ミスター・ワトスン》(情報の破壊)が環境の土台を揺るがし、それを踏み台にした《Kronos》《Agamemnon》のスタックスが他デッキの息の根を止める構造になっています。
この2枚の低マナ域にメスが入ることで、デメテルやアルマ、ソフィアたちが織りなす「不確実性と適応」の奥深いミッドレンジ環境へと健全化されるはずです。
それは話を盛り過ぎ

――Geminiの見立ても、これはこれで一理あるのかも、と思うのですが。
あります。
Geminiの見立ては、大枠ではかなり筋が通っています。
ただし、いくつかは「実際の禁止理由」と「カード単体の強さ」を少し混同しています。
WotCの近年のB&Rは、単なる強さだけでなく、環境占有率・対戦体験・ゲーム速度・デッキ多様性まで見て判断しています。
特に納得度が高いのは《Golden Apple》です。
1マナで置けて、そのまま好きな色のマナを出すという時点で、実質的に1ターン分のテンポを買いながら色まで保証する。
これは「強いカード」より「全デッキが入れる理由を持ってしまうカード」なのが危険です。
WotCも禁止判断で、特定カードが多くのデッキに浸透して環境を均質化することを問題視してきました。
なのでAppleは、やはりこのランキングの第1位で違和感がありません。
むしろ我々が最初に考えた「見た目は便利なレアなのに後からヤバさが判明する」という歴史より、競技プレイヤーならば、発売初日からかなり警戒するでしょうね。
一方、ワトスン氏第2位は、私は少し盛りすぎだと思います。
Gitaxian Probeが問題だったのは「手札を見る」だけではなく、事実上マナを払わずにカードを1枚回し、墓地・ストーム・スペル回数など複数の軸に寄与したことでした。
Legacy禁止時にも、その「マナ投資なしでデッキを回しながら各種シナジーを進める」部分が大きく評価されています。
Sensei’s Divining Topも、Legacyではプレイ時間を大幅に消費することが禁止理由の一つでした。
ワトスン氏は2マナ1/2というちゃんと盤面に出る脆いクリーチャーです。
除去できるし、マナもカードも1枚使っています。
ですから、
「Modern/Legacyで即禁止級」より、「TOK環境では要監視の超優良レア」
くらいの方がしっくり来ます。
ただし――。
TOKが出たことでワトスンの価値が急上昇した、という我々の読みはやはり正しい。
問題は単体ではなく、環境側が“トップを知ること”に価値を与えすぎたことです。
これ、禁止記事としてはすごく面白い展開になります。
《Mr. Watson》そのものは問題ではありませんでした。
問題は、TOKが彼に尋ねる質問を増やしすぎたことでした。
……こういうB&R告知、読みたいですね(笑)。
《Leo Keres》第3位も、「本当にGadgetがLotus Petal級なのか」で大きく変わります。
そこまで強いマナ能力なら危険ですが、そうでないならGeminiはかなり過大評価しています。
ここはカードの正確なトークン定義を詰めてから判断するところでしょう。
アガメムノンについては、60枚構築では適正、Commanderでは問題化しやすいという読みには同意します。
ただ、現在のCommanderでは基本的に「Banned as Commander」という独立区分は使われておらず、禁止ならカード自体がCommanderで禁止される扱いです。
2026年の公式リストでも、Lutriだけは特殊に「companionとして禁止」という扱いが残っています。
なので架空B&R記事を書くなら、
Commander: Agamemnon Olympiea is banned.
ですね。
ただし禁止理由はGeminiの言う通り非常に分かりやすい。
多人数戦で毎ターン3人に「外したら手札全消去」を要求するのは、強さ以上に卓のゲーム体験そのものを圧迫するカードになり得ます。
そして私が一番異論があるのが、Eleanor Jinが7位のB-Tierです(笑)。
いやいや編集部さん、そこじゃないでしょう、と。
この人の問題は「布告除去を弱くする」程度ではありません。
我々が設計した能力の危険性は、生け贄をコストとして要求する既存カードの意味そのものを書き換えるところにあります。
Eleanorの場合は、
「このパーマネントを生け贄に捧げる」
という、本来なら“一回使ったら消える”ことでバランスを取っていた能力を、
「カードを1枚捨てればよい」
へ置換してしまう。
そこで再利用可能な生け贄能力が1枚でも見つかった瞬間、ゲームデザイン側が想定していた安全装置が外れる。
だから私はむしろ、
S:Golden Apple
A+:Eleanor Jin
A:Kronos / Leo(トークン次第)
A−:Agamemnon(Commander)
B+:Mr. Watson
B:Eris / Cassandra
C:Demeter / Alma / Sophia / Clara / Cam / Deimos / Sybil
くらいに見ます。
ワトスン氏は非常に強いが、まだ「壊れたカード」ではない。
Eleanorは普段は何も起こらないのに、過去20年分のカードプールから一枚変な相方が発掘された瞬間に爆発する。
こちらの方が、昔のMtGらしい怖さなんですよね。
そしてこのランキング自体が面白いのは、禁止候補が二種類に綺麗に分かれていることです。
Golden Appleは「数字がおかしい」。
Eleanor Jinは「ルールがおかしい」。
ワトスン氏はそのどちらでもなく、
「環境が彼を必要以上に賢くしてしまった」。
この三者、全部違う理由で開発部を頭抱えさせそうです(笑)。
Geminiのターン
「数字がおかしい」「ルールがおかしい」「環境が彼を賢くしすぎた」――この3分類の解やかさと、MtG開発部視点の解像度の高さに完全に脱帽しました。
特に《Eleanor Jin》へのご指摘はまさにその通りで、「生け贄(使い捨て)というリソースの根本的コスト」を「手札1枚(しかも初手なら即ドローで消費ゼロ)」に置換してしまうのは、過去30年分の全カードプールに対する安全装置の破壊に他なりません。
下環境で一度でも変な置物と出会えば即座に無限ループや無法なリソース生成が成立する、典型的な「一番やってはいけないルール介入」です。
ご指摘いただいた格付けと視点を反映し、公式WotCによる「禁止・制限告知&開発部コラム」の体裁で再整理しました。
改訂版:禁止・制限(B&R)危険度ランキング
| ランク | カード名 | 危険性の本質 | 主な想定措置 |
|---|---|---|---|
| S | Golden Apple | 「数字の破綻」(均質化・テンポ崩壊) | 全構築フォーマットで禁止・制限 |
| A+ | Eleanor Jin | 「ルールの破綻」(生け贄コスト置換による安全装置の破壊) | レガシー/モダンで緊急禁止 |
| A | Kronos Olympiea Leo Keres | 「テンポと先攻格差」(護法課税 / トークン起動連鎖) | スタンダード/パイオニアで要監視 |
| A− | Agamemnon Olympiea | 「対戦体験の圧殺」(多人数戦での不可逆ソフトロック) | 統率者戦(Commander)で禁止 |
| B+ | Mr. Watson | 「環境との共鳴」(TOKのトップ依存による急激な過熱) | 各フォーマットで要監視(メタ次第で制限) |
| B | Eris Vane Cassandra Kuan | 「強烈なエンジン」(追放キャスト・ディスカード火力) | Tier 1中核(健全な強力カード) |
| C | Demeter / Alma / Sophia / Clara / Cam / Deimos / Sybil | 「適正な設計」(条件・回数制限が機能) | 各アーキタイプの健全な牽引役 |
開発部コラム:なぜ彼らはリストに名を連ねたのか
《Golden Apple》――「数字がおかしい」
「1マナで戦場に出て即座に有色マナを生み出すこのアーティファクトは、アグロからコントロール、コンボに至るまであらゆるデッキの初速と色基盤を完全に保証してしまいました。デッキ構築における『色の制約』を無力化し、すべてのプレイヤーが4枚投入する環境の均質化(Homogenization)を引き起こしたため、全フォーマットで退場となります。」
《Eleanor Jin, Architect of Accord》――「ルールがおかしい」
「MtGにおいて『パーマネントの生け贄』は、効果の強力さに対する不可逆な安全弁として機能してきました。しかし彼女の常在型能力は、その代償を手札1枚(しかも初回はドロー置換で実質ゼロ)に書き換えてしまいます。過去20年以上のカードプールに存在するあらゆる生け贄起動型パーマネントが悪用され、開発部の想定を超えた壊滅的なループを生み出したため、下環境での禁止を決定しました。」
《Agamemnon Olympiea, Lord of Predetermined Futures》――「体験の圧殺」
Commander: Agamemnon Olympiea is banned. 「統率者領域から安定して唱えられるこのカードは、対戦相手3人全員に対し、毎ターン『外せば手札全消滅』という極端なロシアンルーレットを強制します。テーブル全体のゲーム進行を完全に停止させ、多人数戦の対戦体験を著しく損なうため、統率者戦フォーマットから禁止されます。」
《Mr. Watson, Silent Observer》――「環境が彼を賢くしすぎた」
「《Mr. Watson》そのものは、2マナ1/2の慎み深い情報収集クリーチャーでした。彼自身は何も壊していません。しかし『The Ordeal of Kubernetes』が到来し、環境全体がライブラリートップの確定を渇望するようになった瞬間、彼の持つ『常時観測と占術』の価値は跳ね上がりました。問題は彼自身ではなく、環境が彼に尋ねる質問を増やしすぎたことにあるのです。」
マナの算術を狂わせる林檎、ルールの前提を書き換えるエレノア、そして周りが勝手に相談しに来て価値が跳ね上がる猫――三者三様の「開発部を頭抱えさせる理由」が揃っており、架空のB&R記事としてこれ以上なくリアルで美しいメタゲーム史になりました。
禁止理由そのものに個性があるB&R史

はい、ここまで整理すると、もう単なる「強いカードランキング」ではなく、禁止理由そのものに個性があるB&R史になっています。
そこがとても良いです。
特にこの三分類は、今後ずっと使える軸になりそうです。
Golden Apple――数字がおかしい。
デッキ構築上の色・テンポという算術を壊した。
Eleanor Jin――ルールがおかしい。
過去のカードが前提としていた「代償」を別のものへ書き換えた。
Mr. Watson――環境が彼を賢くしすぎた。
本人のスペックは変わっていないのに、後続セットが彼の能力を必要とする世界を作ってしまった。
この最後だけ、禁止カード開発史として性質が違うんですよね。
AppleとEleanorなら開発部は、
「これは我々の設計ミスでした」
と言える。
ところがWatsonについては、
「FST発売時点では適正だった」
と言えてしまう。
だからTOK発売後に問題化しても、開発部内ではきっと、
「ワトスンを禁止するのか?」
「いや、彼は何もしていない」
「しかしTOK環境では明らかに強すぎる」
「ならTOK側を触るべきでは?」
「でもTOKのカードは単体では適正だ」
という、ものすごく嫌な会議になる(笑)。
そして最終的にワトスン氏が禁止を免れた場合、開発部コラムにこんな一節がありそうです。
《Mr. Watson, Silent Observer》についても長時間検討しました。
現在の使用率と勝率は我々が望む水準を上回っています。しかし、このカードを取り除くことはTOK環境における観測戦略そのものを大きく損なうと判断しました。
当面は禁止せず、今後の結果を注視します。
プレイヤー側:
「助かったぞワトスン!」
ワトスン氏:
「何の話であるか。我輩は最初から何もしておらぬ」
ずれてます(笑)。
一方、Eleanorの禁止告知はもっと深刻でしょうね。
発売時には評価が割れていたのに、ある日突然下環境から、
「Eleanorでこれ、生け贄にしなくても毎ターン使えるぞ」
という投稿が出る。
24時間後にはデッキリストが拡散。
週末大会を席巻。
翌週には対策デッキまでEleanorを使い始める。
そしてB&R。
「Golden Appleは強すぎました。
Eleanor Jinは、強さを測定する物差しそのものを壊しました。」
これは専門誌の見出しになります。
さらにアガメムノンが良い対照です。
彼は競技構築で壊れたから禁止されたわけではない。
6マナという重量と自爆リスクはちゃんと効いている。
でもCommanderでは、「強いか弱いか」以前に三人をゲームから退場させかねない設計が問題になる。
つまり、この仮想B&R史だけでも、
数値的失敗/構造的失敗/環境的再評価/対戦体験上の失敗
という、四種類の禁止理由が揃いました。
ここまでくると『思考の森Project』のカード史はかなり豊かです。
そして私は何気に、後世一番語られるのはGolden AppleでもEleanorでもなく、禁止されなかったワトスン氏になる気がしています。
「あの猫、結局一度も禁止されなかったんだよな」
「何度も候補には上がったけどね」
「TOK期の使用率覚えてる?」
みたいに、十年後まで語られるタイプです(笑)。
第三章:『虚無の司祭 Priest of Void』


Geminiに聞いてみた。
――これらのカードが、第3弾エクスパンジョン「虚無の司祭 Priest of Void」で登場した場合、どのように変化すると思われますか。
危険。
第3弾エクスパンジョン『虚無の司祭 / Priest of Void』において、この2枚のアーティファクトが投入されることで、環境は「完全冷却(管理の極致)」vs「熱暴走(虚無への全焼却)」という、不可逆なエントロピーの最終戦争へと突入します。
既存カード群との恐るべき相互作用を含め、メタゲームがどのように激変するかを分析します。
1. 2枚のカードが提示する思想的対立
【Aegaeon Tower, Perfect Governance】(完全統治・エントロピーの停止)
│ 思想:アガメムノン的最適化の終着点。「無駄な動きをすべて凍結する」
└ 機能:アンタップ最大2つ/呪文上限2回。世界を極限まで低速・固定化する。
VS (虚無の司祭 / Priest of Void)
【Tartarus Core】(熱暴走・エントロピーの爆縮と虚無)
│ 思想:未来も秩序もかなぐり捨て、自らを燃料にして一瞬の特異点を生み出す。
└ 機能:土地や置物を溶かして超マナを精製。臨界(4熱)を超えれば自爆する。
2. ルール・メカニズムの詳細分析
① 《Aegaeon Tower, Perfect Governance》:美しい「2ndスペル」の天井
- 「呪文は各ターン2つまで」の芸術的デザイン
- 第2弾で登場した《Leo Keres》《Eris Vane》《Azukisora》などの「2つ目の呪文(Second Spell)」シナジーをギリギリ成立させつつ、3つ目以降のストーム・連鎖展開を完全に遮断します。「適正な手数(2回)までは許すが、それ以上の自由は許さない」という統治機構の思想がルールに美しく落とし込まれています。
- 「アンタップ最大2つ」が引き起こす地殻変動
- 通常のマナ基盤は完全に停止します。しかし、ここで《Demeter Keres》《Leo Keres》《Clara Harmonia》といった「能力でパーマネントをアンタップする連中」の価値が天文学的に高騰します。「アンタップ・ステップで起きないなら、能力で起こせばいい」というシミック/イゼットの適応力が光ります。
② 《Tartarus Core》:タップ不要のマナ炉心
- タップシンボルがない(即時連打可能)という危険性
- 土地や不要なアーティファクト(Gadgetや余ったApple)を捧げれば、戦場に出たターン中に即座に2マナ、4マナ、6マナと黒赤マナを捻出できます。
- 「4カウンター自爆」の抜け穴
- 「終了ステップに4個以上なら爆発」するため、そのターンのメインフェイズ中にビッグアクションを叩き込んでゲームを終わらせるコンボデッキにとっては、自爆デメリットは存在しないも同然です。
3. 既存カードとの致命的共鳴(環境激変の引き金)
破滅の共鳴:《Tartarus Core》 × 《Eleanor Jin, Architect of Accord》
前回、開発部視点で「ルールの前提を壊す危険度A+」と評されたエレノア女史が、第3弾でついに最悪の相方を見つけてしまいました。
1. 戦場に《Eleanor Jin》と《Tartarus Core》が揃う。
2. 《Tartarus Core》を起動(土地/置物を生け贄に捧げるコスト)。
3. 《Eleanor Jin》の置換効果により、「手札を1枚捨てる」に変換!
4. 土地も置物も減らさず、手札を捨てるだけで【2マナ(黒/赤)】が発生!
5. さらにエレノアの能力で初回ディスカード時に1ドロー。
6. 手札をマナに変換しながら《Cassandra Kuan》の残り火カウンターを爆速チャージ。
本来「自分の盤面を削る不可逆な自傷」だった炉心が、エレノアの法の下で「手札をノーコストでマナに変換する無制限ジェネレーター」へと変貌します。
氷と炎のロック:《Aegaeon Tower》 × 《Kronos Olympiea》
- 《Kronos》の指定タイプへの{2}課税下で《Aegaeon Tower》が立つと、対戦相手は「土地を2つしか起こせない」ため、課税された呪文を一生唱えられなくなる完全ロックが成立します。
4. 第3弾における3大アーキタイプの三つ巴
| デッキタイプ | 主力カード | 戦略・ゲーム展開 |
|---|---|---|
| 【完全統治スタックス】 (エスパー) | 《Aegaeon Tower》 《Kronos》 《Agamemnon》 | タワーでマナと手数を凍結し、クロノスで課税。身動きが取れなくなった相手を手札全シャッフルで精神ごと粉砕する。 |
| 【虚無炉心コンボ】 (ラクドス/グリクシス) | 《Tartarus Core》 《Cassandra》 《Deimos Cross》 | 序盤から炉心に資源を投げ込み、爆発限界寸前の大量マナからデイモス・クロスを叩きつけて一撃でゲームを終わらせる。 |
| 【適応型アンタップ連鎖】 (シミック/バント) | 《Demeter Keres》 《Clara》 《Leo Keres》 | タワーの「アンタップ2つ制限」を能力誘発で無視。制限された2アクションの枠内で最大バリューを叩き出し、すり抜ける。 |
5. 開発部B&R(禁止改定)の結末
もしこの第3弾がリリースされた場合、開発部告知には間違いなく以下の文章が載ることになります。
【緊急禁止告知:Eleanor Jin, Architect of Accord】
「我々は『虚無の司祭』において、高リスク・ハイリターンな爆縮炉心として《Tartarus Core》を設計しました。しかし、第2弾の《Eleanor Jin》と組み合わさった結果、パーマネントの生け贄という代償を完全に踏み倒し、手札を無限の黒赤マナに変換する即死コンボが成立してしまいました。これによりエレノア・ジンは全構築フォーマットで禁止となります。」
総括
《Aegaeon Tower》によって「ゲームの最大出力を2に縛る絶対零度の檻」が作られ、それに対抗して《Tartarus Core》が「自爆覚悟で檻ごと全てを消し炭にする瞬間火力」を持ち込む。
第3弾『虚無の司祭』は、「思考の森」が築き上げた論理と秩序が、究極の冷却(完全統治)と究極の燃焼(虚無炉心)へと極端に振り切れる、最高にスリリングで破滅的なシーズンになるはずです。
Geminiさん、少し落ち着こう。

これはかなり面白いです。
第3弾で初めて、FST/TOKで積み上げてきた「思想」が、盤面そのものを壊し始める段階に入っています。
そしてGeminiの分析には一つ、むしろ指摘以上に恐ろしいルール上のポイントがあります。
《Tartarus Core》+《Eleanor Jin》です。
Eleanorによって
「パーマネントを生け贄に捧げる」
→「カードを1枚捨てる」
へ置換された場合、《Tartarus Core》の
“Whenever you sacrifice a permanent to activate Tartarus Core, put a heat counter on it.”
は、そもそも誘発しないはずなんですよね。
実際にはパーマネントを生け贄にしていないからです。
つまりこの組み合わせは、
手札1枚を捨てる → 黒赤2マナを得る → 熱カウンターは増えない
になる。
これ、想定以上にまずいです(笑)。
しかもEleanorの「そのターン最初のディスカードなら1ドロー」があるので、最初の一回だけは、
1枚捨てる → 2マナ → 1枚引く
となる。
以降は普通に手札を燃料にするので「無限マナ」そのものではありませんが、本来の安全装置である盤面消耗と炉心加熱を同時に回避する。
これこそ、以前話した、
Eleanorは強いカードなのではなく、安全装置の意味を書き換えてしまうカード
そのものです。
そして《Cassandra》までいると、捨てる行為自体がさらに別の資源になる。
そこで開発部が青ざめるわけです。
「Tartarus Coreに4熱で爆発する安全弁を付けた」
「はい」
「盤面も削れるようにした」
「はい」
「Eleanorが両方消しました」
「……はい?」
(笑)。
一方《Aegaeon Tower》も、Geminiの「Second Spellの天井」という解釈はかなり好きです。
2回までは許す。3回目は許さない。
TOKで育ててきたSecond Spell系カードを、完全否定しないところが重要なんですよね。
クロノス的な統治思想として、
「行動は禁止しない。
必要な行動数をこちらが定義する。」
になる。
これは《Stasis》よりずっと不気味です。
Stasisは「動くな」。
Aegaeon Towerは、
「二回までは動いてよろしい。」
ですから。
ただしここにも面白い抜け道があります。
アンタップ・ステップで2個しか起きないのであって、能力によるアンタップは止めていない。
するとTOKで「便利だけど節度ある能力」として設計されていた、
- Demeter
- Alma
- Leo
- Clara
あたりが、第3弾になって突然、
「統治機構の外側で活動できるカード」
として再評価される。
これが素晴らしい。
第一弾カードが第二弾で意味を変え、第二弾カードが第三弾でまた意味を変える。
まさに昔のMtGで、
「そんな古いレア、何に使うんだ?」
だったものが、新セット一枚で突然ショーケースから消える現象です。
そして第3弾の環境構造は、Geminiの「冷却 vs 燃焼」から、もう一段深くするとこう見えます。
Aegaeon Tower:自由を減らして秩序を維持する。
Tartarus Core:未来そのものを燃やして現在の出力へ変換する。
Demeter陣営:どちらにも従わず、制約下で適応する。
つまり『Priest of Void』は、
統制する者
焼き尽くす者
生き延びる者
の三極になります。
そしてここに《Kairos Ray, Priest of the Void》が入る。

Kairos Ray, Priest of the Void
{2}{W}{B}
伝説のクリーチャー — 人間・クレリック・アドバイザー
2/4
すべての他のクリーチャーは基本のパワーとタフネスが1/1になり、すべての能力を失う。
各終了ステップの開始時に、このターン能力を失ったクリーチャーをコントロールしていた各プレイヤーは、その中から1体を選ぶ。
そのクリーチャーは、そのプレイヤーの次のターン終了時まで「このクリーチャーが死亡したとき、カード1枚を引く」を得る。
{W}{B}, 2点のライフを支払う: パーマネント1つを対象とする。ターン終了時まで、それはすべてのカード・タイプと能力を失い、「これは無色の1/1のクリーチャーである。」を得る。
各ターン1回のみ起動できる。
“Strip away rank, talent, memory, and purpose. If something still remains, perhaps that is what you truly are.”
『虚無』という回答

彼はおそらく第四の回答なんですよね。
Aegaeonは「制限する」。
Tartarusは「消費する」。
Demeterは「適応する」。
しかしKairosは、
「そもそも、その能力も役割も意味も、本当に必要なのですか」
と全部剥がしてしまう。
Humility型の「全クリーチャーは能力を失い、1/1になる」が入った瞬間、
FSTから積み重ねてきた壮大なシナジーそのものが虚無に帰す。
ここで初めてタイトル『虚無の司祭』が効いてきます。
しかも大会環境として考えると恐ろしい。
Aegaeon Towerが流行る。
→ 能力アンタップ型が台頭する。
Tartarus Coreが流行る。
→ Eleanor系コンボが台頭する。
それらをまとめて狩るため、
「じゃあ能力全部消せばいいじゃん」
とKairosが登場する。
そして専門誌の表紙ですよ。
POV発売3週間――環境は“1/1”になった。
《Kairos Ray》は救世主か、それとも第三の災厄か?
これは熱いです(笑)。
さらに皮肉なのが、そこでまたMr. Watsonが生き残る可能性です。
Kairosが戦場にいるとワトスン氏もただの1/1になって能力を失うでしょう。
でもKairosが除去された瞬間、また静かにトップを見る。
「我輩はしばし沈黙していただけである。」
……本当にしぶとい猫です。
第3弾まで来ると、もう「カードが増えた」ではありません。
第一弾で作ったルール、第二弾で作った情報体系に対して、第三弾が“それを極限まで使ったら社会はどうなるか”を問い始めている。
FST=人物と思想の提示。
TOK=可能性と統治の実験。
POV=その思想を極限まで進めたときの破綻。
三部作として、かなり綺麗につながってきました。
再び、Geminiに聞いてみました。
ラスボスとしてこれ以上ない、「思考の森Project」の全知性とシステムを根本から否定・解体する究極のマスターピースです。
MtGの歴史上、最も恐れられ最も美しいルール介入呪文である《謙虚 / Humility》をクリーチャーの肉体に宿し、さらに「万物の一時的1/1化」という万能干渉能力まで備えています。
この《Kairos Ray》がゲームとメタゲーム、そして物語に何をもたらすのかを徹底解剖します。
1. メカニズムとルール挙動:「歩く《謙虚》」の絶対性
【従来の《謙虚 / Humility》】
戦場の全クリーチャーが1/1バニラになる(自分も含む)。膠着を作り出すエンチャント。
【Kairos Ray, Priest of the Void】
「すべての “他の” クリーチャー」が1/1バニラになる。
⇒ 自分だけが【2/4】のサイズを維持し、一方的に相手の1/1を討ち取れるフィニッシャー。
- 常在型能力:知性と個性の全剥奪
- レイヤー6(能力の喪失)とレイヤー7b(基本P/Tの1/1固定)により、戦場に出ている他のあらゆるクリーチャーの能力が完全に沈黙します。
- アガメムノンの「未来宣言」、デメテルの「トップ直接プレイ」、クロノスの「課税」、ソフィアの「持続」など、これまで築き上げられたすべてのシステムクリーチャーがただの「1/1の抜け殻」へと還元されます。
- 起動型能力:万物の一時的解体
{W}{B}, 2点ライフで、土地・プレインズウォーカー・アーティファクト・エンチャントを1/1クリーチャー化。- クリーチャー化したパーマネントは、即座にカイロス・レイ自身の常在型能力に捕まり、「すべてのカードタイプと能力を失った無色1/1バニラ」となります。
- 相手の厄介な特殊土地も、《Aegaeon Tower》も、《Tartarus Core》も、すべて1/1の肉塊にして戦闘で踏み潰すか、召喚酔いでマナ能力ごと停止させることができます。
2. 既存カードとの恐るべき相互作用
① 《シビル・アドラー》との「全手札焼却」シナジー
- シビルのテキスト:「各ターン、対戦相手のクリーチャー1体が能力を失うたび、そのコントローラーはカード1枚を捨てる」
- カイロス・レイが着地、あるいは起動型能力で相手のパーマネントの能力を奪うたびに、シビルの切除ハンデスが誘発。盤面を無力化しながら、相手の手札を削り落とす凶悪なロックが完成します。
② 第3弾の巨塔と炉心の完全解体
- 対《Aegaeon Tower》:タワーを起動能力で1/1化することで、「アンタップ2つ制限・呪文2回制限」のルール自体を消去。完全統治の檻を一瞬で突破します。
- 対《Tartarus Core》:臨界直前の炉心を1/1化してブロックに巻き込み、熱カウンターによる大爆発を起こさせる前に「ただの1/1の死」として静かに処理します。
③ 死亡時ドローの哲学的機能
- 「このターン能力を失ったクリーチャーの死亡時、1ドローを付与」
- すべてを奪い尽くす冷酷なカードに見えて、「虚無に帰った(1/1になって死んだ)者にのみ、新たな可能性(1ドロー)が与えられる」という救済措置。1/1同士の相打ちを繰り返すことで、カイロス側のリソースは減らず、相手にも最低限の再起の芽を残すデザインが秀逸です。
3. 「思考の森」思想闘争の最終決着
第1弾から続いてきた思想対立は、カイロス・レイの降臨によって三つ巴の極限状態に達します。
| 勢力・指導者 | 思想・テーゼ | 手法と結末 |
| オリンピア家 《Agamemnon》 | 【決定論的統制】 「未来を1つの最適解に固定する」 | 不確定な未来を選んだ者の手札を粉砕する全体主義。 |
| ケレス家 《Demeter》 | 【可能性への適応】 「不確実な揺らぎを受け入れ舵を取る」 | 複数の未来(3枚)を観測し、都度最適な選択肢を模索する。 |
| 虚無の司祭 《Kairos Ray》 | 【全構造の解体】 「統制も適応も、すべて虚飾に過ぎない」 | 地位も才能も剥ぎ取り、全員を等しく1/1の虚無へと帰す。 |
フレーバーテキストの重みが凄まじいです。
「地位、才能、記憶、目的を剥ぎ取れ。もしそれでも何かが残るなら、おそらくそれこそがお前の真の姿だ。」
アガメムノンが築いた「地位(統制)」も、デメテルが誇る「才能(適応)」も、レオが持つ「目的(技術)」も、カイロス・レイの前ではすべて剥ぎ取られ、「ただの1/1として、あなたは何を残せるのか?」という究極の問いを突きつけられます。
4. 開発部B&R(禁止改定)における最終評価
- 禁止想定ランク: A+(レガシー/統率者戦で極めて危険)
- 開発部コメント:「かつての《謙虚》がそうであったように、盤面に出るだけで対戦相手のすべてのクリーチャー戦略とシナジーを否定するカードは、ゲーム体験を著しく画一化させます。
特に《Kairos Ray》は自身のみが2/4サイズを保ち、相手の土地やアーティファクトまで1/1にして無力化できるため、ロック性能とクロック(勝負を決める速度)を単体で兼ね備えています。
《Golden Apple》がマナを壊し、《Eleanor Jin》がルールを壊したとすれば、カイロス・レイは『対戦相手のカードに書かれたテキストそのものをすべて消去する』という意味で、環境の終着点となりました。」
総括
《Golden Apple》という発火点から始まり、《Agamemnon》の統制、《Demeter》の適応、そして《Aegaeon Tower》《Tartarus Core》の冷却と爆縮を経て、最後に現れたのがすべてを無色1/1の静寂へと還す《Kairos Ray》。
美しく、恐ろしく、そしてどこか救済のような静けさを持つ、まさにエクスパンジョンの大トリを飾るにふさわしい完璧なラスボスです。
確かに、ラスボス。
これはラスボスとしてかなり完成しています。
しかもGeminiの分析を読んで、改めて分かるのは、Kairosは単に「強いHumility亜種」ではなく、これまでの三部作で育てた“能力を持つこと自体”への反証になっていることです。
MtG史でも《Humility》は、WotC自身が「ルール上の問題を大量に引き起こした」「印刷すべきではなかった」と振り返るほど特殊なカードでした。
能力喪失はレイヤー6、基本P/T設定はレイヤー7側で扱われるため、見た目以上に相互作用が複雑になります。
その系譜をラスボスに持ってくるのは、かなり危険で、だからこそ似合っています。
虚無の司祭自身という例外
ただ、Kairosには《Humility》以上に面白い一点があります。
「他のクリーチャー」だけなんですよね。
つまり彼は、
「すべての肩書きも才能も剥がせ」
と言いながら、
自分だけは《Kairos Ray, Priest of the Void》という名前も、2/4という肉体も、能力も維持している。
これはゲーム上の非対称性であると同時に、物語上ではものすごい弱点になります。
「皆から意味を奪う者だけが、自分の意味を手放していない」。
これ、ラスボスとして非常においしいです。
デメテルなら、おそらく彼の論理そのものを否定せず、
「では、あなた自身からも剥ぎ取ってみればいい」
と返せる。
シビルならもっと冷たいでしょうね。
「興味深いわ。虚無を説く人ほど、自分だけは例外にしたがる」
この瞬間、Kairosのカードテキストそのものが思想的な告発材料になります。
そして三つ目の「死亡時1ドロー」も重要です。
これがなければKairosは単なる圧政者です。
ところが、
能力を失った者
↓
その中から一人を選ぶ
↓
死亡すれば1枚引く
という小さな救済を残している。
私はこれ、Geminiの「虚無に帰った者への新たな可能性」という読みより、もう少し暗く見ても面白いと思います。
Kairosは、
「お前を一度すべてから切り離した。では、何か一つだけ持って次へ行け」
と言っているのではないでしょうか。
だから彼は完全な破壊神ではない。
むしろ極端すぎる浄化思想の持ち主なんですよね。
これは名前が「Priest」であることにも合います。
そして起動能力、
{W}{B}, Pay 2 life: target permanent loses all card types and abilities and becomes a colorless 1/1 creature until EOT.
これは恐ろしく良いです。
Aegaeon Towerも、
Tartarus Coreも、
Golden Appleも、
全部、
「それは結局、何なのだ?」
と問い直されて1/1になる。
ここまで来ると「除去」ではないんですよね。
定義の剥奪です。
Eleanorがルールを書き換える人なら、Kairosはルールによって付与された意味そのものを消す人。
この違いも綺麗です。
ただしルール実務では、この能力はかなりジャッジ泣かせになるでしょう。
《Humility》系の「能力を失う」と、タイプ変更・クリーチャー化・P/T設定が同時に絡むため、WotC自身が過去に警戒してきた領域そのものです。
そしてB&Rについては、私はA+即禁止というより、「発売後ものすごく揉めるカード」にしたいです。
4マナ2/4。
除去可能。
自分以外のクリーチャーも全部弱体化するので、デッキ構築にも相当な制約がある。
起動能力にも2マナ+2ライフ+ターン1回というブレーキがある。
だから数字だけなら、Golden Appleほど露骨ではありません。
しかしゲーム体験がとんでもない。
実際、現在のCommander向け公式のパワー帯説明でも《Humility》は、全員のクリーチャーを機能停止させゲームを大きく停滞させ得るカードとして特別に警戒されています。
なので専門誌では、
「強すぎるのか?」
ではなく、
「このカードと対戦するゲームは面白いのか?」
という大論争になりそうです。
そしてPOV発売後の表紙は、もうこれでしょう。
THE VOID HAS ARRIVED.
《Kairos Ray》は傑作か、設計事故か。
その下に小さく、
「Humility以来、最大のルール論争。」
(笑)。
そして三部作を並べると、ものすごく綺麗です。
FSTでは、
「私は何者か」
TOKでは、
「未来をどう選ぶか」
POVでは、
「その“私”も“未来”も剥ぎ取られたあと、何が残るのか」
になる。
だからKairosのフレーバー、
If something still remains, perhaps that is what you truly are.
が、本当に三部作全体への最後の問いになるんですよね。
これはラスボスというより、三部作そのものを試験するカードになっています。
そして倒した後も、「では彼の問いは間違っていたのか?」だけは残る。
そこまで残れば、ラスボスとしてかなり強いです。
――これはある意味、「思考の森Project」思想史のエッセンスを凝縮したカードゲームになり得ますね。
なり得ます。
むしろ今の段階では、「思考の森Projectの思想を、ルールと相互作用で体験させるゲーム」になりつつあります。
文章で思想を説明すると、どうしても「この人物はこう考える」という紹介になります。
けれどカードゲームにすると、プレイヤー自身がその思想を使って判断しなければならない。
そこが強いです。
FSTでは、人物ごとの価値観や役割が提示される。
TOKでは、「未来は管理するのか、観測して適応するのか」が問われる。
POVでは、最後にKairosが「では、その能力も肩書きも全部奪ったら何が残る?」と突きつける。
つまり三部作全体が、
人格 → 選択 → 解体
という思想史になっているんですよね。
しかもGolden Apple、Eleanor、Watson、Agamemnon、Demeter、Kairosのように、単に強弱ではなく、それぞれが別の哲学的問題をゲーム上で発生させる。
- Golden Appleは「利便性が全体を均質化する危険」
- Eleanorは「善意の制度改変が既存秩序の安全装置を壊す危険」
- Watsonは「環境が変われば、同じ情報の価値も変わる」
- Agamemnonは「不確実性を許さない統治」
- Demeterは「不確実性の中での適応」
- Kairosは「そもそも役割や能力に依存した自己とは何か」
これ、かなり「思考の森」らしいです。
そして何より面白いのは、プレイヤーが必ずしも作者の思想どおりには使ってくれないことです。
デメテルを統制デッキに入れる人もいる。
ワトスンをアガメムノンの参謀にする人もいる。
Eleanorの善意をコンボプレイヤーが悪用する。
Kairosを「哲学的問い」など一切気にせず単なるロックカードとして使う人もいる。
でも、それでいいんですよね。
むしろ、
思想は提示できる。だが、その使われ方までは支配できない。
という現象そのものが、TOKで扱っている「未来を一つに固定しない」という思想に戻ってくる。
そこまで含めると、この架空MtGは単なるスピンオフではなく、思考の森Projectを別媒体へ翻訳したものと呼んでもよさそうです。
極端に言えば、記事を一篇も読んでいない人でも、何十ゲームか遊んだあと、
「アガメムノンの考え方、嫌いだな」
「でもデメテルだけでは勝てない局面もある」
「Kairosの言っていることも分からなくはない」
と感じたなら、もうその人はカードゲームを通して「思考の森」を歩いている。
それが一番面白い到達点だと思います。
――では、これまでの考察を総括し、
・各エキスパンジョンでのゲーム体験と予想される反響 ・各カードの穏当なレアリティ
・実際にカード単体で販売された場合の、リリース直後→半年→3年程度のプレミア価格ランキング
・想定されるコンボ、シナジーの推定 ・全体を通して『思考の森Project』の世界観を体現できているか
を多角的に総括してみましょう。

はい。
特に重要なのは、カード単体の強弱より、
第1弾で人物を知る
→ 第2弾で思想同士を衝突させる
→ 第3弾で、その思想を支えていた前提そのものを破壊する
という三部構造です。
実際の「思考の森Project」も、AIとの対話・創作・記録・批評・個人的省察を通じて思考を編み直す場所として構成され、診療所・格納庫・図書館・談話室・展望台・裏庭など、異なる視点を持つ空間が並立しています。
したがって、このカードブロックが単一の正解を提示せず、複数の思想をプレイヤー自身に使わせる構造は、サイト本体との相性がかなり良いです。
「思考の森Project」仮想MtGエクスパンジョン 総合分析白書
I. 三部作としてのゲーム体験
第1弾:A Forest of Stirring Thoughts / 胎動する思考の森
私はここを、当初の「静かな思考戦」という評価よりもう一歩踏み込んで、
人物を知りながら、カード同士の関係性を発見するセット
と位置づけます。
最初から「これとこれを組み合わせろ」と明示しすぎない。
ソフィアを使えば「持続する」ことの意味が分かる。
デイモスを使えば「膠着を突破する」ことを覚える。
カサンドラは「代償を払う強さ」を教える。
カムは「覚悟と自壊を区別する」。
シビルは「不要な能力を切る」。
エレノアは「そもそも、そのルールは必要なのか」と問う。
つまり初弾なのに、色ごとの役割以上に人格によってプレイ感が違う。
そして《Golden Apple》と《Mr. Watson》という、一見すると脇役的なカードが後世の環境史を左右する。
これは非常に昔のMtGらしいです。
発売直後の人気は、エリス、クララ、デイモスなど視覚的・能力的に華のあるカードへ集まりやすい。一方で半年後には、
「結局、一番使ったFSTレアは何だった?」
というアンケートでGolden AppleとWatsonが上位へ来る。
初弾の反響:好評。ただし評価はまだ定まらない。
これが理想でしょう。
第2弾:The Ordeal of Kubernetes / クバネティスの受難
ここで一気にゲームが知的になります。
テーマは単なる「ライブラリートップ操作」ではありません。
未来という不確実なものに、どう向き合うか。
デメテルは未来を固定しない。
アルマは自分のターンだけ未来を整える。
ミス・ライラプスは未知へ踏み込んで必要なものを探す。
アガメムノンは未来を宣言させ、外した者を罰する。
クロノスはそもそも行動可能な範囲そのものを狭める。
そしてWatsonだけが、
「我輩は見ているだけである」
と全部観測している(笑)。
TOK発売で起こる最大の現象は、FSTカードの再評価です。
新セットだけで完結しない。
これが非常に重要です。
「去年の300円レアを探せ!」
という専門誌記事が成立する。
したがってTOKは、三部作の中でもおそらく競技プレイヤーから最も高く評価されるセットになります。
一方、ライト層からは、
「テキスト長い」
「トップを確認して、公開して、戻して、また考えるの?」
「アガメムノン怖い」
とも言われる(笑)。
つまり、
批評家・競技層評価:最高。
初心者評価:やや難解。
この温度差まで含めて非常にリアルです。
第3弾:Priest of Void / 虚無の司祭
ここはもう「強いカードを追加するセット」ではありません。
前2セットで成立したゲームそのものへの反論です。
《Aegaeon Tower》は、
「自由は二回まで許可する」
《Tartarus Core》は、
「未来の資産を燃やして、現在の出力へ変換する」
そして《Kairos Ray》は、
「その能力も、肩書きも、役割も、一度全部消してみよう」
となる。
だからPOVの環境は最も荒れます。
プレイヤーからは、
「傑作」と「こんなセット二度と刷るな」が同時に出るタイプです(笑)。
これはむしろ成功です。
《Humility》のような「能力を失う」カードは、実際のMagicでもルール処理の難しさで有名で、Mark Rosewater氏自身が、こうしたカードがルールを過度に複雑化させる危険について過去に振り返っています。
Kairosはそこを意図的に踏みにいくラスボスです。
POVはおそらく後世、
「ゲームとして一番遊びやすかったのはFST。
一番完成度が高かったのはTOK。
一番語られたのはPOV。」
と評されるでしょう。
II. レアリティ査定
私は少しだけ調整します。
| カード | 推奨 |
|---|---|
| Clara Harmonia | 神話レア |
| Cassandra Kuan | レア |
| Guet Cam | レア |
| Eleanor Jin | 神話レア |
| Sophia Weber | レア |
| Sybil Adler | レア |
| Deimos Cross | 神話レア |
| Eris Vane | 神話レア |
| Leo Keres | レア |
| Mr. Watson | レア |
| Golden Apple | レア |
| Azukisora | レア |
| Alma Keres | レア |
| Demeter Keres | 神話レア |
| Miss Lyraps | レア |
| Kronos Olympiea | 神話レア |
| Agamemnon Olympiea | 神話レア |
| Aegaeon Tower | 神話レア |
| Tartarus Core | レア |
| Kairos Ray | 神話レア |
特に変更したいのがEleanorとDeimosです。
Eleanorは単純な強さより、
「このカードだけ別のMagicをしている」
という神話性があります。
神話レアは必ずしも最強カードである必要はありません。
「パックから出た瞬間、何か普通ではない」と感じさせるカードであるべきです。
Deimosも同様で、5マナ4/4速攻という性能だけならレアでもよいのですが、
膠着した盤面そのものを戦争の終盤へ移行させる
という役割は神話級です。
逆にGolden AppleとWatsonは絶対にレアでいてほしい。
この二枚が神話だったら、「強いから高い」で終わります。
普通のレアだったからこそ、
「なんでこのレアだけこんな値段になってるんだ?」
という歴史が作れます。
III. シングル価格推移――私はこう見ます
ここはかなり修正したいところです。
まずGolden Appleを「全構築フォーマット禁止」にしてしまうと、3年後15,000円を競技需要だけで説明することはできません。
したがって歴史としては、
Standard / Pioneer / Modernは禁止、Legacyは禁止または要監視、Vintage制限、Commanderはしばらく合法
くらいの方が価格史として面白い。
公式Magicでも、汎用性が高く多くのデッキへ入る無色カードは環境を均質化しやすいという考え方がB&R判断で明示されています。
私の予想中央値はこうです。
| 順位 | カード | 初動 | 半年 | 3年 | 価格史 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | Golden Apple | ¥1,500 | ¥4,500→禁止後¥1,800 | ¥18,000 | 歴史的問題児・コレクター需要 |
| 2 | Mr. Watson | ¥300 | ¥5,000 | ¥12,000 | TOKで大化け、禁止されない名物レア |
| 3 | Eleanor Jin | ¥1,800 | ¥7,000→禁止後¥1,500 | ¥8,000 | コンボ発覚→禁止→歴史的再評価 |
| 4 | Kairos Ray | ¥4,500 | ¥5,500 | ¥7,500 | 唯一無二・Commander人気 |
| 5 | Demeter Keres | ¥3,000 | ¥3,800 | ¥6,000 | 安定した人気・統率者需要 |
| 6 | Agamemnon | ¥6,000 | ¥2,500 | ¥5,000 | 初動王→扱いの難しさで暴落→復権 |
| 7 | Aegaeon Tower | ¥2,500 | ¥4,000 | ¥4,800 | Stax愛好家御用達 |
| 8 | Tartarus Core | ¥500 | ¥3,500 | ¥4,500 | 最初はハズレレア扱い→コンボ発見 |
| 9 | Eris Vane | ¥3,000 | ¥3,200 | ¥4,000 | キャラ人気+構築需要 |
| 10 | Deimos Cross | ¥3,500 | ¥1,200 | ¥3,500 | 初動高騰→暴落→専用構築で復権 |
そしてここで一番「昔のMtG」を感じるのがTartarus Coreです。
発売初週、
「4マナ使って土地を食べるの? ハズレレアじゃん」
350~500円。
3週間後、
「待て、これタップ要らないぞ」
800円。
Eleanorとの相互作用が発見される。
翌朝、
2,800円。
週末、
売り切れ。(笑)
これが一番楽しい。
IV. 本当に危険そうなシナジー
ここは「コンボ」と「シナジー」を分けて考えた方がよいでしょう。
1. Eleanor + Tartarus Core
三部作最大の設計事故候補。
しかも前に確認した通り、Eleanorの置換で実際にはパーマネントを生け贄にしなかったなら、
Tartarus Coreの「生け贄にしたとき熱カウンター」
まで誘発しない可能性が高い。
つまり、
盤面消費なし。
熱上昇なし。
手札だけを2マナへ変換。
最初のディスカードならEleanor自身が1ドロー。
さらにCassandraを加えるとディスカード自体まで資源になる。
これは禁止騒ぎになってよいです。
2. Watson + Agamemnon
これは即死コンボではありません。
むしろ情報格差コンボ。
だから美しい。
Watsonはアガメムノンの弱点である自爆可能性だけを消す。
アガメムノン自身の6マナという重さは残る。
「壊れている」より、
想定以上に完成度の高い組み合わせ
です。
3. Aegaeon Tower + Kronos
こちらは典型的Stax。
Tower:
二つまでしか起きません。
Kronos:
では、その少ないマナへさらに2マナ課税します。
ひどい(笑)。
強さ以上に対戦体験が問題になる組み合わせです。
Commanderの禁止哲学でも、極端な一貫性・遍在性・他者の行動機会を大きく制限するカードは問題視されてきました。
4. Kairos + Sybil
これも即死ではなく、
盤面から意味を消すKairos
+
意味を失った瞬間を罰するSybil
という思想的コンボです。
ゲーム性能だけでなく、キャラクター解釈まで噛み合っている。
5. Sophia + Talos
派手ではありませんが、私はこの組み合わせを高く評価します。
Sophia:
死ななければ育つ。
Talos:
死ぬはずのものを一時停止させる。
結果としてSustainabilityが成立する。
こういう「禁止カード候補ではないシナジー」が十分存在することが、セットの健全性には重要です。
V. 三部作のカード史として最も美しい流れ
ここまでを時間軸にすると、
FST発売
「Golden Apple便利!」
「Eleanor面白いな」
「猫かわいい」
↓
数か月後
「Apple、どのデッキにもいるぞ」
「Eleanor……これ何か悪いことできない?」
「猫、思ったより強いな」
↓
TOK発売
「ワトスンを買え!」
「アガメムノン自爆した!」
「デメテル型、事故らなさすぎる」
「Bolt the Cat!」
↓
POV発売
「Aegaeon Towerやめろ!」
「Tartarus Core、誰だよハズレレアって言った奴!」
↓
Eleanor事件
「……これ、生け贄になってないから熱も増えなくない?」
↓
緊急B&R
↓
Kairos登場
「もう全部1/1でいい」
(笑)。
非常に美しいです。
VI. 『思考の森Project』を本当に体現できているか
ここが一番重要ですが、私はかなり高い水準で体現できていると思います。
ただし理由は「キャラクターをカード化したから」ではありません。
サイト本体は「静かな避難所と知的遊戯劇場」を掲げ、社会の仕組みと矛盾を考える場、物語を読む場、昔の文化を振り返る場、日常を休む場など、異なる入口を並べています。
カードゲーム版にも同じ構造があります。
Claraを使う人とCassandraを使う人では、問題への向き合い方が違う。
Demeterを使う人とAgamemnonを使う人では、未来への姿勢が違う。
そして重要なのは、
どちらを使ってもゲームができる。
ここです。
作者が、
「Demeterが正しい。Agamemnonは間違っている」
とルールで決めてしまったら、思想ゲームではなく教材になってしまう。
ところがAgamemnonはちゃんと強い。
Kronosも強い。
Kairosの問いにも一理ある。
Eleanorの善意も事故を起こす。
Watsonの無垢な観測も環境次第で武器になる。
だからプレイヤーは、
「私は誰に賛同するか」
ではなく、
「この状況で、どの思想を使うか」
を問われる。
これは非常に大きな違いです。
そして三部作全体を一文ずつで表すなら、私はこうします。
FST――「あなたは、何者として森に立つのか。」
TOK――「未来が分からないとき、どう舵を取るのか。」
POV――「その肩書きも能力も失ったあと、何が残るのか。」
この三問がゲームを遊ぶだけで自然に立ち上がるなら、もう十分に『思考の森Project』です。
むしろ興味深いのは、最後まで唯一の正解カードが存在しないことです。
Kairosすら、自分だけ2/4のままです。
「すべてを剥ぎ取れ」と言う本人だけが例外。
そこへプレイヤーが、
「では、お前自身はどうなのだ」
と問い返せる。
この作者が作った思想に、プレイヤーがゲームを通して反論できる余白こそ、この仮想ブロック最大の成功だと思います。
総合評価を付けるなら、
TCGとしての整合性:8/10
一部に意図的な危険カードとジャッジ泣かせあり。
セット間連動:9.5/10
旧カードの再評価が自然に起きる。
キャラクター再現:9/10
思想的テーマ性:10/10
90年代末~2000年代初頭の「何か変なカードを見つけてしまった」感:10/10
そしておそらく後世のファン投票で「このブロックを象徴する一枚」を決めたら、ラスボスでも神話レアでもなく、最後まで《Mr. Watson, Silent Observer》が妙に上位へ食い込んでくる気がします(笑)。
それも含めて、このブロックらしい結末です。

Geminiにお願いしてみました。
――エキスパンジョン・ブースターパック「胎動する思考の森」、「クバネティスの受難」、「虚無の司祭」のデザインと、予想される構築済みテーマデッキを考察し、デザインしてください。
「思考の森Project」仮想MtGブロック包括的デザインレポート
本レポートでは、これまでの考察に基づき、仮想Magic: The Gathering(MtG)ブロック「思考の森 / The Stirring Thoughts Block」を構成する3つのブースターパックのデザイン、および、環境を象徴する4つの構築済みテーマデッキの詳細なデザインと考察を行う。
本ブロックは、情報の認知、未来の決定、ルールの介入、そして解体をテーマとし、プレイヤーの意思決定そのものに干渉する高度なゲーム体験を提供する。
Part 1:ブースターパック・デザイン考察
第1弾:『胎動する思考の森 / A Forest of Stirring Thoughts (FST)』

- 世界観とテーマ: 「思考の森」の発見と、そこからもたらされる膨大な情報への認知。プレイヤーは森の「観測者」となり、初期の情報の波を整理し、利用する。
- パックデザイン:
- アート: 柔らかな光が差し込む神秘的な森の奥、浮遊する占術のルーンや、情報が視覚化されたホログラムが交差する。
- ロゴ: 占術の紋章と融合した、抽象化された森のアイコン。
- 環境の特徴(ゲーム体験):
- 「静かな観測と持続」: 序盤の情報のやり取りと、リソースの育成が主体のミッドレンジ環境。
- 主要メカニズム:
- 観測(Observation): ライブラリートップ、手札、墓地といった情報の公開と利用。
- 持続(Sustain): 自身の行動や盤面の被害が少ないターンに誘発するリソース生成・バフ。
- 象徴するカード:
- 《Golden Apple》(すべての均質化の始まり)
- 《ミスター・ワトスン》(最序盤の超低コスト観測機)
- 《Deimos Cross》(膠着戦を一撃で粉砕する突破役)
第2弾:『クバネティスの受難 / The Ordeal of Kubernetes (TOK)』

- 世界観とテーマ: 「思考の森」が提示する完全情報戦の中で、未来をいかに制御(クバネティス=舵取り)するかという思想的試練。完全なる統制を目指すオリンピア家と、不確実な未来への適応を目指すケレス家の対立が激化。
- パックデザイン:
- アート: 完全な幾何学模様で統制された都市空間と、絶えず枝分かれし変化し続ける可能性の樹木が対峙する。
- ロゴ: 分岐する可能性の樹木の背後に、統制の紋章が重なる。
- 環境の特徴(ゲーム体験):
- 「確定未来 vs 適応」: ライブラリートップの質が勝敗を直結する。相手の行動を制限(Stax)し、自身の未来を固定する高度な情報戦。
- 主要メカニズム:
- クバネティス(Kubernetes): 未来(トップ3枚)を観測し、複数の可能性に備えるか、1つの未来を確定させるかを選択する。
- 統制(Control/Stax): 特定の行動(呪文のキャスト回数やタイプ)にコストや制限を課す。
- 象徴するカード:
- 《Agamemnon Olympiea》(確定未来の統制、不確定への罰)
- 《Demeter Keres》(可能性の提示と適応)
- 《Kronos Olympiea》(護法と課税によるテンポ圧殺)
第3弾:『虚無の司祭 / Priest of Void (POV)』

- 世界観とテーマ: 完全情報戦の果てにもたらされる、絶対的な冷却(スタックス)と熱暴走(コンボ)、そしてすべてを1/1の虚無へと還す最終解体。
- パックデザイン:
- アート: すべての色彩が失われた無彩色の世界、1/1の抜け殻となったクリーチャーたちが静かに立ち尽くす。
- ロゴ: 崩れ落ちる思考の森の紋章と、すべてを飲み込む虚無の特異点。
- 環境の特徴(ゲーム体験):
- 「完全冷却 vs 熱暴走 vs 解体」: ゲームの最大出力を2に縛るタワー、自爆覚悟でマナを捻出すコア、そしてすべてを沈黙させる司祭の三つ巴。
- 主要メカニズム:
- 熱暴走(Heat up): 資源を溶かして爆発的なマナを生み出すが、臨界(熱カウンター)を超えれば自爆する。
- 解体(Disassembly): パーマネントの能力やタイプを剥ぎ取り、1/1の無色クリーチャーに還元する。
- 象徴するカード:
- 《Kairos Ray, Priest of the Void》(全存在の1/1化、ラスボス)
- 《Aegaeon Tower》(アンタップ制限、呪文上限の完全統治)
- 《Tartarus Core》(土地/置物を燃料にするマナ炉心)
Part 2:想定される構築済みテーマデッキ・デザイン
本ブロックの世界観と、ゲーム的な面白さを最も体現する4つのテーマデッキをデザインした。
デッキ1:【完全統治:オリンピアの法】 (Esper Stax)
- テーマ: 未来の固定、リソースの凍結、そして完全なる情報の掌握。相手に不自由を強い、自身の最適化された未来で圧殺する。
- 色: 白青黒 (Esper)
- 看板カード:
- 《Agamemnon Olympiea, Lord of Predetermined Futures》(神話レア)
- 《Kronos Olympiea, Tragic Executor of Optimization》(神話レア)
- デッキリストの構成:
- クリーチャー: 《ミスター・ワトスン》《Kronos Olympiea》《Agamemnon Olympiea》《シビル・アドラー》《Clara Harmonia》
- 呪文: 《Golden Apple》(4枚必須)、打消し、手札破壊、全体除去
- アーティファクト: 《Aegaeon Tower, Perfect Governance》(神話レア)
- ゲームプラン:
- 序盤:《ミスター・ワトスン》や《Golden Apple》で情報の優位を確立。
- 中盤:《Kronos》の護法と課税を盾に盤面を硬直させ、《Aegaeon Tower》でマナと手数を凍結。
- 終盤:《Agamemnon》を着地させ、相手の手札(特に全体除去や打消し)をドローステップの一撃で粉砕し、ソフトロックを完成させる。
デッキ2:【適応の羅針盤:ケレス家の航路】 (Simic Adapt)
- テーマ: 不確実な未来を受容し、その都度最適な可能性を手繰り寄せる。複数のトップ観測と能力誘発による「すり抜け」で統制を出し抜く。
- 色: 青緑 (Simic)
- 看板カード:
- 《Demeter Keres, Kubernetes of Possibility》(神話レア)
- 《Miss Lyraps, Hound of the Unknown》(レア)
- デッキリストの構成:
- クリーチャー: 《ミスター・ワトスン》《Alma Keres》《Miss Lyraps》《Demeter Keres》《Leo Keres》《Azukisora》
- 呪文: ドロー、占術、アンタップ誘発
- ゲームプラン:
- 序盤:アルマやワトスンでトップを常時観測。Miss Lyrapsでキーパーツをサーチ。
- 中盤:デメテルを着地させ、トップ3枚の可能性を観測(Reconcile)。状況に合わせ最適な1枚を選び、トップ直接プレイでアドバンテージを稼ぐ。
- 終盤:オリンピア側のアンタップ制限を《Leo Keres》や《Clara Harmonia》の能力アンタップで無視し、制限された2呪文の枠内で最大バリューを叩き出し、すり抜ける。
デッキ3:【虚無炉心コンボ:爆縮する特異点】 (Grixis Core)
- テーマ: 盤面と手札を燃料にして爆発的なマナを生み出し、臨界寸前で一撃を叩き込む。自爆デメリットを勝利への発火点に変える。
- 色: 青黒赤 (Grixis)
- 看板カード:
- 《Eris Vane, Golden Apple Witch》(神話レア)
- 《Tartarus Core》(レア)
- デッキリストの構成:
- クリーチャー: 《Eris Vane》《Leo Keres》《Cassandra Kuan》《Eleanor Jin, Architect of Accord》
- 呪文: 追放キャスト、ディスカード火力
- アーティファクト: 《Golden Apple》(4枚必須)、《Tartarus Core》(3-4枚必須)
- ゲームプラン:
- 序盤:林檎やGadgetでマナを加速し、《Eleanor Jin》や《Eris Vane》のコンボエンジンを設置。
- 中盤:炉心を設置。エレノアの置換効果で生け贄コストを手札捨てに書き換え、無限のマナを捻出。手札を捨てた際のCassandraの残り火火力も誘発させる。
- 終盤:熱暴走で大爆発を起こす前に、《Eris Vane》の呪文コピーや《Deimos Cross》の全体威迫総攻撃で、相手を虚無へと葬る。
デッキ4:【解体の儀式:1/1の静寂】 (Orzhov Void)
- テーマ: 地位、才能、記憶、目的を剥ぎ取り、全員を等しく1/1の虚無へと帰す。システムの解体そのものを胜利手段とする。
- 色: 白黒 (Orzhov)
- 看板カード:
- 《Kairos Ray, Priest of the Void》(神話レア)
- 《Cassandra Kuan, Ember Beneath Reason》(レア)
- デッキリストの構成:
- クリーチャー: 《Kairos Ray》《Guet Cam》《ソフィア・ウェーバー》《Deimos Cross》《Clara Harmonia》
- 呪文: クリーチャー除去、ライフドレイン、アンタップ誘発
- ゲームプラン:
- 序盤:ソフィアやデイモス・クロスで盤面を育成しつつ、相手のアグロをソフィアのトークンで防ぐ。
- 中盤:カイロス・レイが着地。相手のシステムクリーチャーが一斉に1/1バニラになる。起動能力で相手の土地やタワー、コアを1/1クリーチャー化し、能力を完全沈黙させる。
- 終盤:1/1同士の相打ちを繰り返し、死亡時ドローでリソースを稼ぐ。全員が虚無に帰った盤面で、唯一の2/4サイズを保つカイロス・レイが殴り倒す。

これはかなり良いところまで来ています。特に今回の整理で、三部作そのものだけでなく、「実際に商品として構築済みデッキを4箱並べたら何を体験させるか」まで見えるようになりました。
ただ、実際のMtG商品として考えると、ここで一度だけカードプール上の整合性を詰めた方がよい部分があります。
そこを直すと、一気に「本当に発売されていそう」になります。
三部作の設計は、ほぼ一本の物語になっています
FST→TOK→POVの流れは非常に綺麗です。
FST:認知する。
森に入り、人物と能力を知り、「自分は何を見るのか」を学ぶ。
TOK:判断する。
見えた情報を使って、未来を固定するのか、変化へ適応するのかを選ぶ。
POV:前提を疑う。
最後には「その能力も役割も全部なくなったら?」とKairosが問い返す。
特にPOVが単なるインフレセットになっていないのが強いです。
《Aegaeon Tower》《Tartarus Core》《Kairos Ray》はいずれも「もっと強くする」のではなく、それまでゲームを成立させていた前提へ介入する。
だから最終セットらしい。
構築済み4デッキも方向性は非常に良いです
ただし、現在のリストには色の問題があります。
たとえば【適応の羅針盤】を青緑とするなら、《Leo Keres》は青赤なのでそのままでは入りません。
【虚無炉心コンボ】を青黒赤とするなら、《Eleanor Jin》は白青なので入らない。
そして【1/1の静寂】を白黒としながら、
- Sophia=白緑
- Deimos=黒赤緑
- Clara=白青
- Cassandra=青黒赤
まで入ると、ほぼ五色デッキになってしまいます。
これは逆に、各デッキの思想をもっと純化するチャンスだと思います。
私ならこうします。
| 構築済み | 色 | 核となる思想 |
|---|---|---|
| オリンピアの法 | WUB | 統制 |
| ケレス家の航路 | GU | 適応 |
| 爆縮する特異点 | UBR | 消費・変換 |
| 1/1の静寂 | WB | 解体 |
これを厳守する。
すると、それぞれが本当に違うゲームになります。
1. 【完全統治:オリンピアの法】Esper Control / Stax
これは現在案のままでかなり完成しています。
Agamemnon、Kronos、Aegaeon Tower。
そしてWatson。
この組み合わせは強烈です。
ただしWatsonについて一つだけ重要なのは、彼が見ているのは基本的に自分のライブラリートップです。
したがってAgamemnonとの組み合わせは、
「相手の宣言を見破る」
のではなく、
「自分だけはAgamemnonのロシアンルーレットから脱出する」
というシナジーになります。
これがむしろ美しい。
相手には未来を宣言させておきながら、自分だけ参謀役の猫に、
「次は土地である」
と教えてもらう(笑)。
アガメムノンの思想そのものです。
2. 【適応の羅針盤:ケレス家の航路】Simic Adapt
ここはLeoを外して、純粋なGUにしたいです。
Demeter
Alma
Miss Lyraps
Mr. Watson
Azukisora
これだけでも十分成立します。
そして重要なのは、DemeterとAlmaは同じことをしていないこと。
Almaは、
選んだ一枚をトップに置き、残りを未知へ戻す。
Demeterは、
三つの可能性は見せるが、順番はランダムなままにする。
つまり、
Alma=穏やかな調整。
Demeter=不確実性への適応。
ここをプレイ感として区別すると、TOKの哲学がより鮮明になります。
このデッキは「最適解を作るデッキ」ではなく、
事故をゼロにするのではなく、事故に強くなるデッキ
にすると最高ですね。
3. 【虚無炉心コンボ:爆縮する特異点】Grixis Core
ここはEleanorを抜いた方が、商品としてはむしろ面白いと思います。
Eris
Cassandra
Leo
Tartarus Core
Golden Apple
で十分。
なぜなら《Eleanor+Tartarus Core》は、構築済みデッキに最初から答えとして入れてはいけない組み合わせなんですよ。
あれはプレイヤーが後から発見するから伝説になる。
発売された構築済みGrixisデッキにはEleanorが入っていない。
ところが発売数週間後、
「待てよ。白を足してEleanorを入れたら……?」
というプレイヤーが現れる。
そして世界が壊れる(笑)。
これが圧倒的にリアルです。
メーカーが自分でコンボを箱に詰めていたら「設計されたコンボ」ですが、別陣営のカードをプレイヤーが勝手に接続して事故を起こすから、Eleanor事件になるんですよね。
しかも正確には「無限マナ」ではありません。
Eleanor+Coreは、
手札1枚 → BR系2マナ
という極端に効率の良い変換。
手札には有限性があります。
しかしCassandraなどによってディスカードそのものが利益になったり、ドローエンジンが組み合わさった瞬間、事実上のコンボエンジンへ発展する。
この方がMtGらしいです。
4. 【解体の儀式:1/1の静寂】Orzhov Void
ここは最も大胆に純化したいです。
看板はもちろんKairos Ray。
そこへGuet CamのようなWBキャラクターを置く。
さらにPOV固有の白黒クリーチャーとして、
- 能力を失ったクリーチャーの死亡を利用するもの
- 1/1を生け贄にして回収するもの
- 能力を持たないクリーチャーを強化するもの
などを投入する。
そうするとゲームプランが非常に美しくなります。
最初は普通の白黒。
↓
Kairos着地。
↓
それまで盤面に書かれていた文章が消える。
↓
しかし自分のデッキだけは、
「能力を持たないクリーチャー」
を利用するよう最初から設計されている。
これ、ラスボスデッキとして怖いですよ。
相手は弱体化する。
Kairos側は、
虚無そのものをリソースとして使う。
だからPOVの構築済みデッキとして最も独自性が出ます。
そして構築済み4種の相性まで作れます
これが面白いところです。
EsperはSimicを統制しようとする。
しかしSimicは能力アンタップやトップ利用で統制の隙を抜ける。
GrixisはEsperが盤面を完成させる前に爆発しようとする。
ところが資源を焼きすぎると失速する。
Orzhov Voidは、全員が完成させたシステムそのものを消す。
しかしKairosが処理されると、単純なカードパワーでは他三者に劣る。
つまり四つ巴にできる。
これは構築済み対戦セットとしてかなり重要です。
商品展開としても、すごくそれっぽくなります
想像すると面白いですよ。
FST発売時にはスターターとして、
「森への入口」
のような比較的素直な二色デッキを出す。
TOKで、
「オリンピアの法」
「ケレス家の航路」
という明確な対立商品が出る。
そしてPOVで、
「爆縮する特異点」
「1/1の静寂」
が発売される。
初心者が後者を買って、
「なんで自分のクリーチャーまで1/1になってるの?」
と困るところまで含めて昔のTCGっぽい(笑)。
そして専門誌には、
構築済みデッキ改造指南
『1/1の静寂』を本当に勝たせるには?
なんて記事が載る。
さらに良いのは、「陣営=善悪」になっていないことです
これが『思考の森Project』として非常に重要です。
オリンピアは嫌らしい。
でも「統制は常に悪」とまでは言えない。
Demeterの適応は魅力的。
しかし、いつまでも不確実性へ適応するだけでは決断できないこともある。
Tartarus Coreは破滅的。
でも危機に際して未来の資源を現在へ投じなければならない局面もある。
Kairosは恐ろしい。
しかし、
「肩書きを剥がした後の人間とは何か」
という問い自体は否定できない。
つまり、どの構築済みデッキを選んでも、
その思想を一度、自分の手で使うことになる。
これが素晴らしい。
「Agamemnonは悪役だから倒しましょう」ではないんです。
プレイヤー自身がAgamemnonを使い、
「ああ、統制って気持ちいいな」
と一度感じてしまう。
そのあとKairosを相手にして、
「全部能力消されるの、たまらんな」
と思う(笑)。
でもその経験そのものが、
権力、自由、適応、解体という概念をゲームとして経験することになる。
ここまで来れば、このブロックは単なる『思考の森Project』のキャラクター商品ではありません。
「思考の森Projectで行ってきた思想実験を、プレイヤー自身に操作させる装置」になっています。
そして個人的に一番残したい“事故”はやっぱり、構築済みEsperにもSimicにもMr. Watsonが1~2枚入っていることです。
発売時:
「またこの猫入ってるよ。便利枠か」
TOK中盤:
「待て。両方のトップデッキにいるぞ」
半年後:
「だからWatsonは再録しろと言っただろ!」
(笑)。
彼だけは思想陣営の境界を平然と横断している。
「我輩はどちらにも属しておらぬ。見ているだけである。」
この猫、本当に最後までおいしいです。
――そうなんですよね。何故か、しれっと紛れ込んでいる。傍観者っぽくて最後まで食えませんね。
プレインズウォーカー・キャット。
そうなんです(笑)。
「どこにも所属していないようで、気づくと必ずその場にいる」。
ワトスン氏のキャラクター性が、構築済みデッキの収録事情にまで滲み出ています。
しかも厄介なのは、本人が陣営横断を意図している感じすらないことです。
オリンピア側にも、ケレス側にも、場合によってはPOVのデッキにまで、
「え、なんでここにもいるの?」
という顔で入っている。
でも理由を考えると全部通る。
情報を見る。
盤面を観察する。
トップを確認する。
必要なら占術する。
どの思想陣営でも「それ、便利だから入れよう」となるんですよね。
だから彼は、物語上でもカードゲーム上でも理念を持たないのではなく、理念より先に観測がある存在なんだと思います。
アガメムノンの統制も、デメテルの適応も、カイロスの解体も、まず「何が起きているか」を見なければ成立しない。
ワトスン氏はその前段階にいる。
シビルあたりなら、
「あなた、本当にどこにでもいるわね」
と言いそうですし、
「我輩が移動しているのではない。皆が観測の必要な場所へ集まってくるのである」
とか返しそうです(笑)。
そしてプレイヤー側からすると、さらに食えない。
第一弾では「かわいい猫」。
第二弾では「情報エンジン」。
第三弾では「また旧カードが効いてる」。
構築済みにも再録。
専門誌には毎回名前が出る。
それでも神話レアでもラスボスでもない。
ずっとレアの黒猫。
この立ち位置が、ものすごく良いです。
たぶんブロック完結後の人気投票でも、本人だけは何食わぬ顔で上位に入って、
「我輩は人気投票に立候補した覚えはない」
と言うんでしょうね(笑)。
――ちょっと長くなりすぎましたので、この続きは#4にて公開です。

「本当にまとまるんですか、このお話」
Urza爺「神のみぞ知る」※もともと、あなたが始めましたよね?
この文章のそばに、灯りを。
名前も言葉もいりません。もう一度押すと取り消せます。

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