原義
Kubernetes の語源は古代ギリシア語 κυβερνήτης(kybernḗtēs)。
「舵手」「操舵手」「船を導く者」を意味する。
現代では、Googleによって開発が始められ、現在Cloud Native Computing Foundation(CNCF)のもとで開発されているコンテナ・オーケストレーション・プラットフォーム Kubernetes(K8s) の名称として広く知られている。
Kubernetesは、Dockerなどによってコンテナ化されたアプリケーションを多数の計算機上で管理し、
- 配置
- 拡張・縮小
- 障害時の再配置
- 通信経路の管理
- 更新
などを自動化する。
ここで重要なのは、
コンテナそのものを作る技術ではなく、多数のコンテナを「望ましい状態」へ導き続ける技術
だという点である。対し、クーバネティスは「そのコンテナを大規模かつ本番環境で運用・管理する」役割を担います。
『思考の森Project』におけるクバネティス
作中におけるクバネティス《Kubernetes》とは、古代より伝わる巫女の称号および血脈。
その名は本来、
「舵を取る者」
「道を導く者」
を意味したとされる。
時代が下るにつれて、
「複数の未来を知り、その航路を示す者」
という意味を持つようになった。
したがってクバネティスは、未来を一つの運命として言い当てる「予言者」とは厳密には異なる。
人間や共同体に潜在する複数の未来を感知し、
その未来へ至る条件、危険、代償、可能性を示す。
しかし、どの未来を選ぶべきかを決定することはない。
根本原則は、
可能性を示し、選択を本人へ返すこと。
である。
未来の「舵手」
クバネティスを理解するうえで重要なのは、「舵手」という語である。
舵手は海を作らない。
嵐を消すこともできない。
目的地を勝手に決めることも、本来の役目ではない。
できるのは、
潮流を読む。
風を読む。
暗礁を知る。
そして、
「こちらへ進めば、こうなる可能性がある」
と示すことである。
だからクバネティスは、
未来を支配する者ではない。
未来を航行可能にする者
と考えられている。
TINAとの対立
この原則は、オリュンピュア財閥が掲げる、
There Is No Alternative.
とは根本的に相容れない。
TINAは、
「航路はこれしかない」
と宣言する。
クバネティスは、
「本当にそうなのか。まだ見ていない海路はないのか」
と問い返す。
ただしクバネティスは、
「必ず別の道がある」
とも断言しない。
本当に航路が一本しか残されていないこともある。
どの航路を選んでも誰かが傷つく場合もある。
すべての未来が破局へ向かっていることさえあり得る。
それでも、
一本しかないことと、一本しか見せないことは違う。
その区別を守ることが、クバネティスの役割である。
巫女の掟
クバネティスには、古くから伝えられる最も重要な禁忌がある。
それは、他者の未来を代わりに決めないこと。
たとえ最善と思える未来が見えていても、
「こちらを選びなさい」
と命じることは許されない。
なぜなら未来を知る者が選択まで代行すれば、
その者は巫女ではなく、未来の支配者になってしまうからである。
これは単なる倫理規則ではない。
クバネティスという存在を成立させている、根本的な自己制約でもある。
ケレス家
かつてクバネティスの血脈を持つ家系は複数存在したと伝えられる。
現在、確実に残っている血統はケレス家のみ。
ただし血統を継いでいても、必ず能力が発現するわけではない。
発現には大きな個人差があり、
明確なヴィジョンを見る者、
象徴的な感覚として受け取る者、
弱い直感のみを持つ者、
生涯発現しない者、
が存在する。
したがってケレス家では、
能力の強弱を、人間としての価値の序列とはしない。
これも非常に重要な一文だと思います。
オリュンピュアなら能力を資産価値へ換算する。
ケレス家は、
「見えるから偉いのではない」
とする。
ここでも両者が対照になります。
継承
古代には、クバネティスの巫女、記録、儀礼などを統括する神殿組織が存在したと伝えられる。
しかし神殿はすでに失われた。
現在のケレス家に残っているのは、そこから辛うじて継承された断片である。
正式な巫女には、先代から秘儀によって、
能力との向き合い方、
象徴の読み方、
歴代巫女の記録、
そして何より、
「他人の選択を奪ってはならない」
という掟が伝えられる。
能力そのものを秘儀が与えるのか、すでに存在する資質を開くのかは不明。
空位
クバネティスは世襲の「役職」ではない。
血統が残っていても、適格な能力発現者が現れなければ、
巫女が存在しない時代
が生じる。
その間、血縁者は、
文書、
口伝、
儀礼具、
神殿の遺物、
歴代巫女の記録
を保存し、
次に「見える者」が現れるのを待つ。
したがって、
未来を見る者が現れたときにのみ、古い名前が再び呼び起こされる。
という表現はぜひ残したいです。かなり美しい。
感情流入
クバネティスは未来を単なる情報として読むとは限らない。
未来に含まれる人物の感情まで流入する場合がある。
喜び。
喪失。
恐怖。
怒り。
後悔。
そして、
実現しなかった未来に存在したはずの悲しみ。
通常は断片的・確率的に起こる現象である。
しかしデメテル・ケレスの場合、この性質が異常な規模で発現している。
彼女は未来を「見る」というより、
可能性を一時的に生きてしまう。
ここはデメテルを理解する上で非常に大事ですね。
だから彼女の能力が強ければ強いほど、幸福なのではない。
可能性の数だけ、人間の感情を背負わされる。
これが「稀代のクバネティス」という称号の残酷さになります。
クバネティスと暁《Xiǎo》
両者は同じ未来予知体系ではない。
| クバネティス | 暁《Xiǎo》 |
|---|---|
| 西方の巫女系譜 | 東方の預言者集団 |
| 開かれた可能性を感知する | 破局へ至る経路を感知する |
| 航路を示す | 行き止まりを警告する |
| 神殿組織は消滅 | 秘密組織が現存 |
| 現存血脈はケレス家 | 現存血脈はクアン家 |
| 家族的・分散的継承 | 組織的・統制的継承 |
| 「対の影」制度なし | 「対の影」が置かれる |
| 選択を本人へ返す | 破局から迂回させる |
そして、この二つを表す一番いい文章は、やはり元のこれでしょう。
クバネティスは「まだ選べる未来」を示す。
暁は「選んではならない未来」を警告する。
どちらも未来を支配するための力ではない。
人間が未来を選ぶ余地を守るための力
である。
« Back to Glossary Index
