Gunpei Yokoi/1941–1997
任天堂でゲーム&ウオッチ、ゲームボーイなどの開発に携わった技術者・発明家。
横井が掲げた開発思想として知られるのが、
「枯れた技術の水平思考」である。
ここでいう「枯れた技術」とは、時代遅れで価値を失った技術ではない。
すでに広く使われ、性能も限界も理解され、安価で安定して扱えるようになった技術を指す。
横井は、最先端の技術そのものを競うのではなく、既存の技術を別の場所へ移し、異なる用途と結びつけることで、新しい遊びや体験を生み出そうとした。
それは、技術の高さではなく、
技術をどこに置き、誰のために、どのように使うかを問い直す思想である。
レオ・ケレスは、この考え方を自身の設計思想の中核に据えている。
彼にとって技術とは、未来を誇示するための装飾ではない。
いま、手元にあるものを観察し、分解し、組み替え、必要としている人のもとへ届けるための道具である。
最新であることよりも、使えること。
高性能であることよりも、壊れにくいこと。
完成された答えを与えることよりも、使う人自身が修理し、変更し、引き継げること。
レオの設計する機械やシステムが、どこか素朴で、理解可能な構造を残しているのはそのためである。
ただし、彼は横井の思想をそのまま模倣しているわけではない。
レオは「枯れた技術の水平思考」を、製品開発の方法からさらに広げ、
忘れられた技術、捨てられた道具、使われなくなった仕組みに、もう一度役割を与えるための思想
として受け継いでいる。
彼にとって「枯れた」とは、死んだという意味ではない。
それは、十分に時間を経て、余計な幻想が剝がれ、その技術が本当にできることだけが残った状態なのである。
技術は、新しいから未来をつくるのではない。
置かれる場所を変えたとき、もう一度未来になる。
――レオ・ケレス
※筆者は横井軍平氏への最大限の敬意を示しております。もし、肖像権等で問題になる場合は、即座に画像その他を廃棄抹消致します。« Back to Glossary Index

