ヘルメス(Hermes Agency)

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オリュンピュア財閥 企業防衛局(Olympeia Security Bureau) に属する情報戦・認識操作部門。

機関長は、エリス・“Discord”・ヴェイン(Eris “Discord” Vane)

アイギス・ガードが物理・電脳環境を制御し、ネメシスが直接的な執行と清算を担当するのに対し、ヘルメスは、情報そのものを戦場とする。

対象の排除、分断、孤立化、情報収集、予測、世論環境の形成などを担当し、必要に応じて他の実働部門へ情報を供給する。


原義――ヘルメス

ヘルメス(Hermes)はギリシア神話における伝令神。

神々の使者であると同時に、

旅人、
商業、
境界、
言語、
機知、
盗み

などにも関わる、極めて多面的な神である。

世界と世界の間を行き来し、情報や物を運び、ときには境界を越えて盗み出す。

オリュンピュア財閥がこの名称を情報機関へ与えた理由は明快である。

情報とは、運ばれるだけでなく、盗まれ、加工され、境界を越えて意味を変えるものだからである。


情報を奪うのではなく、「意味」を奪う

ヘルメスの任務は、単純な情報収集ではない。

敵対対象について、

何を知っているか。
何を知らないか。
何を信じているか。
誰を信用しているか。
誰を恐れているか。

を分析する。

そして必要なら、その構造そのものへ介入する。

したがってヘルメスにとって最も価値の高い成果は、秘密文書を盗むこととは限らない。

たとえば、

正しい情報が信用されなくなる。

味方同士が互いを疑う。

本物の内部告発が偽物だと思われる。

逆に偽物が本物らしく見える。

そうなれば、情報を破壊しなくても、その情報の機能を破壊できる。


下部組織

ヘルメス機関は、複数の専門部門から構成される。

情報攪乱局 Information Disruption Bureau

敵対組織の情報環境を混乱させる部門。

情報そのものを消すだけでなく、矛盾する情報や解釈を発生させ、

「何を信じればよいのか分からない状態」

を作り出す。


煽動工作局 Incitement Operations Bureau

既存の不満、対立、疑念などを分析し、それらが増幅する情報環境を形成する部門。

重要なのは、対立を完全なゼロから作ることではない。

すでに存在する亀裂を見つけること。

そこへ適切な「種」を置くこと。

《ゴールデン・アップル》がもっとも頻繁に利用される部門の一つでもある。


情報簒奪局 Information Usurpation Bureau

敵対対象が持つ情報、通信資産、研究成果、記録などを取得・確保する部門。

単なる諜報活動に留まらず、

情報の所有関係そのものを奪う

ことを目的とする。

「盗む」というより、

相手が自分自身の情報を自由に扱えない状態へ追い込む

ことから「簒奪」の名が付けられている。


デジタル排斥局 Digital Exclusion Bureau

個人・組織をデジタル社会から切り離すための専門部門。

アカウント、認証、通信、取引、情報アクセスなど、現代社会における「存在の入口」を扱う。

彼らが狙うのは肉体ではない。

社会との接続である。

ある人物がそこに存在していても、

記録上はアクセスできない。
通信できない。
信用されない。

その状態を作る。


世論操作局 Public Opinion Manipulation Bureau

社会において、

何が問題として語られるのか。
誰が被害者と見なされるのか。
誰が敵と見なされるのか。

その「認識の枠組み」を分析・操作する部門。

エリス・ヴェインの思想を最も直接的に反映した部署の一つ。


分析・予測局 Analysis and Forecasting Bureau

ヘルメスの中でも特別な位置を占める情報中枢。

世界各地から得られる情報を集約し、

社会情勢、
企業活動、
人的ネットワーク、
組織内対立、
潜在的脅威

などを分析する。

その成果はヘルメス内部だけでなく、

アイギス・ガード
および
ネメシス

へも提供される。


三部門をつなぐ情報中枢

このため《分析・予測局》は、企業防衛局全体にとって極めて重要である。

タロスが、

「何を防ぐべきか」

を決めるためにも、

デイモスが、

「何を清算すべきか」

を判断するためにも、

まず情報が必要になる。

そして、その情報を集約し、分類し、優先順位を与えるのがヘルメスである。

したがって、

正式な組織階級とは別に、エリス・ヴェインはタロスやデイモスに対して情報上の優位を持つ。

これは彼女が二人へ直接命令できる、という意味ではない。

もっと厄介な優位である。

彼らが判断を下すための「世界の見え方」を、エリスが先に整えている。


エリス・ヴェインという機関長

エリスはヘルメス機関を、単なる任務として運営しているわけではない。

人間の欲望、嫉妬、怒り、承認欲求、集団心理を観察し、

それらがどのように社会現象へ成長するのかを見ること自体を、

「面白い」

と感じている。

つまり彼女にとって情報工作は、

趣味と実益が一致した仕事

なのである。

《ゴールデン・アップル》も、その延長線上に位置する。


アイギス・ネメシス・ヘルメス

企業防衛局の三つの実働系統は、それぞれ異なる段階を担当する。

ヘルメス

何が現実として認識されるかを制御する。

アイギス・ガード

認識された脅威が行動できる可能性を封鎖する。

ネメシス

なお残った対象を清算する。

言い換えれば、

ヘルメスは世界の説明を書く。
アイギスは世界の条件を固定する。
ネメシスはその条件から外れたものを消す。

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