オリュンピュア財閥 企業防衛局(Olympeia Security Bureau)に属する防衛・対抗措置部門。
最高責任者は、タロス・“Immutable”・グレイヴス(Talos “Immutable” Graves)
であり、組織全体の設計思想には、彼の徹底した合理主義と秩序観が色濃く反映されている。
合言葉は、
「清廉なる沈黙と静寂を。」
彼らが理想とする防衛状態とは、敵を撃退した後の勝利ではない。
そもそも異常が発生したことすら認識されない状態
である。
防衛ではなく「正常状態の維持」
アイギス・ガードは、物理警備とサイバー防衛を統合した企業防衛組織である。
しかし彼ら自身は、自らを単純な警備部隊とは考えていない。
任務は、オリュンピュア財閥が定義した「正常状態」を維持すること。
侵入者を撃退する。
攻撃通信を遮断する。
不正アクセスを防止する。
それらは手段にすぎない。
最終目的は、
「異常が存在できない環境を維持すること」
にある。
この思想は、最高責任者タロスの、
「防壁とは、敵を拒む壁ではない。敵が存在できない条件そのものだ。」
という理念に集約される。
電脳・非電脳統合防衛
アイギス・ガードの最大の特徴は、
物理世界と情報世界を別々の戦場として扱わない
ことである。
例えば、ある施設への侵入を阻止する場合、扉を施錠するだけでは終わらない。
入館資格を無効化する。
監視網を再編する。
通信経路を遮断する。
エレベーターの行先を制限する。
照明や空調を変更する。
必要であれば警備員や無人機を別区画へ誘導する。
つまり、建物そのものを防御行動へ参加させる。
電脳防衛と物理防衛は、一つの統合された環境制御として扱われる。
攻防一体
名称こそ「Guard」だが、アイギス・ガードは受動的な防衛組織ではない。
脅威源が確認された場合、必要に応じて積極的な対抗措置を取る。
敵対組織の通信基盤、情報端末、サーバー、制御設備などへ侵入し、
情報アクセス権、
管理権限、
認証資格、
通信経路、
制御権限
などを奪取または無効化することもある。
その目的は報復ではない。
タロスの論理では、
攻撃能力を保持している相手を放置すること自体が、防衛上の欠陥
だからである。
したがってアイギス・ガードにおいて、「攻撃」と「防御」の境界は極めて曖昧である。
敵の攻撃能力を先に消してしまえば、それもまた防御なのである。
「清廉なる沈黙と静寂を」
この合言葉は、単なる精神論ではない。
アイギス・ガードが理想とする作戦終了状態を表している。
銃声が響かない。
警報が鳴らない。
通信障害すら利用者に認識されない。
一般市民や従業員は、何かが起こったことすら知らない。
敵対者だけが、
認証を失い、
通信を失い、
移動手段を失い、
操作権限を失い、
やがて何もできなくなる。
そしてシステムは、最初から何事もなかったかのように通常運転へ戻る。
それが彼らの言う、
清廉なる沈黙と静寂
である。
アイガイオン・タワー
アイギス・ガードは、アイガイオン・タワーの防衛・環境制御系へ最高水準のアクセス権を持つ。
塔内では、
入退室認証、
監視設備、
照明、
空調、
昇降機、
通信、
防火設備、
隔壁、
無人警備設備
などが統合管理されている。
そのため、
「塔そのものがアイギス・ガードの兵器である」
とも言われる。
空気の流れ一つに至るまで支配下にある、という表現も比喩ではない。
ただし最終的な統合管制の中核には、
《イージス・コア》
が存在する。
タロスがそこへ接続した場合、個別の設備はもはや独立した装置ではなく、
一つの巨大な防壁を構成する部品
として動作する。
タロスとの関係
アイギス・ガードはタロスの命令を実行する軍隊というより、
タロスの思考を組織として外部化したもの
に近い。
曖昧さを嫌う。
重複を嫌う。
例外を嫌う。
予測不能を嫌う。
しかし感情的な暴力も嫌う。
敵を憎む必要はない。
怒る必要もない。
ただ、異常値として処理すればよい。
これが、タロスの下で形成されたアイギス・ガードの文化である。
ネメシスとの違い
同じ企業防衛局に属していても、アイギス・ガードとネメシス執行隊では役割が違う。
アイギス・ガードは、
異常を成立させない。
ネメシスは、
成立してしまった異常を清算する。
タロスは条件を閉じる。
デイモスは残った対象を処理する。
前者は防壁であり、後者は執行である。
そしてヘルメスは、そのさらに前段階で、
何が異常として認識されるか
その情報環境自体を操作する。
ヘルメス:認識を制御する。
アイギス:可能性を封鎖する。
ネメシス:残余を清算する。

