年齢は58歳ほど。
種族はメリノ種を思わせる、灰白色の巻き毛を持つ雄羊。
ミルク通り駅の駅長であり、カモシカ・ユウキの直属の上司。
濃紺の駅長制服に、深い臙脂色のベスト。金縁の制帽を被り、胸元には古い懐中時計と、歴代駅長から引き継がれた真鍮製の笛を下げています。
太く湾曲した角を持ちますが、威圧感よりも「長い年月を背負った樹木」のような落ち着きを感じさせる人物です。
人物像
温厚で寡黙。
めったに声を荒らげません。
しかし、列車の安全、旅人の尊厳、部下の無理については一切妥協しません。
「定刻を守ること」と「人を置き去りにしないこと」が衝突した場合、彼は迷わず列車を遅らせます。
「時刻表は、人を運ぶためにある。
人を時刻表へ押し込むためではない」
これが彼の信条です。
駅員としては極めて有能で、列車の運行状況、天候、乗客の人数、荷物の行き先をほとんど記憶しています。しかし彼が本当に覚えているのは、数字ではありません。
毎週病院へ通う老婦人。
家出して森へ向かった少年。
何年ぶりかに故郷へ戻ってきた旅人。
同じホームで、もう来ない誰かを待ち続ける人。
そうした「時刻表には記載されない事情」を覚えています。
カモシカ・ユウキとの関係
ユウキの案内能力を高く評価しており、若い頃から目をかけています。
ただし、ユウキが旅人一人ひとりへ親身になりすぎ、勤務時間を超えてまで付き添ってしまうことには頭を悩ませています。
「また終電を逃したのか」と呆れながら、結局は駅長室のストーブをつけ、温かいミルクティーを用意して待っているような上司です。
ユウキに対しては、次のように語ります。
「案内係は、旅人の代わりに歩く者ではない。
その人が自分の足で歩ける道を、共に探す者だ」
ユウキの優しさを否定するのではなく、優しさが自己犠牲へ変わらないよう見張る人物です。
過去
若い頃は長距離夜行列車の車掌でした。
霧の森域と外の世界を結ぶ路線に乗務し、災害、事故、紛争、吹雪など、多くの非常事態を経験しています。
かつて一度だけ、運行規則を優先した結果、助けを求めていた乗客を救えなかったことがあります。
その出来事以来、彼は規則を軽んじることはありませんが、規則の背後にいる「人間」を見失わないと決めました。
駅長室の引き出しには、その日に止まったままの懐中時計が保管されています。
普段胸につけている時計とは別のものです。
特徴的な能力
迷い子のベル
駅長が真鍮のベルを鳴らすと、霧の中で道を見失った旅人には、駅の灯りがぼんやりと見えるようになります。
ただし、このベルは「正しい道」を示すものではありません。
まず安全な場所へ戻り、もう一度行き先を考えるための音です。
思考の森Projectらしく言うなら、彼は答えへ導く者ではなく、考え直すためのホームを守る者なのでしょう。
駅長室
ミルク通り駅の二階にある、小さな木造の部屋。
壁には歴代の時刻表、鉄道路線図、古い記念写真が飾られています。大きな窓から全ホームを見渡すことができ、机の横には湯気を立てる鉄瓶があります。
迷った旅人や疲れた職員が訪れると、駅長は事情を問い詰める前に、まず椅子を勧めます。
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